未払い賃金請求権2年→5年に延長へ 当面は3年、20年4月施行目指す (12/25)

未払い賃金請求、時効を3年に延長案 労働側は5年主張
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191224-00000077-asahi-bus_all
2019/12/24(火) 23:10配信 朝日新聞デジタル

未払い賃金請求、時効を3年に延長案 労働側は5年主張
未払い賃金の請求期間 2年から延びる?

 社員が未払い残業代などを会社に請求できるのは「過去2年分」までとする労働基準法の規定を「3年」に延ばす案が24日、厚生労働省の労働政策審議会の分科会に示された。来年4月施行の改正民法で、お金をさかのぼって請求できる期間が「原則5年」になることを受け、労働者側は同じ5年に延ばすよう主張しているが、5年では企業の負担が増すと主張する使用者側に配慮した案になった。

 1896年制定の民法では、未払い賃金の請求権が消える時効は1年。それでは労働者の権利が守られないため、1947年制定の労基法には時効を2年とする特例が設けられた。だが、来年4月から民法の規定で時効が5年となり、労基法の特例の方が短くなるため、労政審の分科会が今夏から本格的に議論してきた。

 労働側の委員は民法に合わせて5年に延ばすことを要求。だが、使用者側は中小企業の負担が特に大きいなどとして、2年のままの現状維持を主に主張した。

 双方が譲らない状況を受け、24日には分科会長の荒木尚志・東大大学院教授ら有識者の委員が「見解」として折衷案を示した。労基法の未払い賃金の時効は民法の規定を踏まえて「5年とする」としつつ、企業の負担軽減などを理由に「当分の間は3年」とした。来年4月以降支払われる賃金から適用するという。さらに時効を延ばすかは施行5年後に改めて検討するべきだとしている。

 労使は後日、この案への意見を出すことになり、この日は合意しなかった。

朝日新聞社
 


未払い賃金請求権2年→5年に延長へ 当面は3年、20年4月施行目指す
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191225-00000003-mai-soci
2019/12/25(水) 0:16配信 毎日新聞

未払い賃金請求権2年→5年に延長へ 当面は3年、20年4月施行目指す

〔写真厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は、労働者が残業代などの未払い賃金をさかのぼって企業に請求できる期間を、現行の2年から5年に延ばす検討に入った。当面の間は3年で運用する。2020年4月の改正民法施行で債権を請求できなくなる期限(消滅時効)を原則5年に統一することを受けた。来年の通常国会に労働基準法の改正案を提出し、4月1日の施行を目指す。

 民法は消滅時効を一般的な債権で原則10年としている。例外として、飲食店の未払い代金など一部債権は1〜3年、賃金請求権は1年としている。一方、労働基準法は労働者保護の観点から、特例で「給料日から2年」と定めている。

 改正民法では債権の消滅時効を賃金を含め原則5年に統一。労基法上の期限が逆に短くなるため、厚労省の有識者検討会が「労働者の権利を拡充する方向で見直しが必要だ」との意見をまとめた。これに対し労働者側は「民法の定める水準より下回るのは許されない」と5年を主張、企業側は「事務負担に耐えられない」などとして2年の維持を求め、折り合わなかった。

 改正民法の施行が迫ったため、24日の労働政策審議会分科会では、学識者ら公益委員が、企業の負担軽減のためまずは3年で運用し、5年後の見直しで最終的に5年を目指す案を示した。労使双方で持ち帰り協議するがこの案を軸に厚労省がとりまとめる方針。施行日以降の賃金支払日から適用となる。【矢澤秀範】 

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