佐賀豪雨後の武雄、大町職員 過労死ライン超え82人 3カ月連続100時間超は9人 負担軽減へ、自治体間の連携課題 (1/4)

佐賀豪雨後の武雄、大町職員 過労死ライン超え82人 3カ月連続100時間超は9人 負担軽減へ、自治体間の連携課題
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2020/1/4(土) 15:39配信 佐賀新聞

佐賀豪雨後の武雄、大町職員 過労死ライン超え82人 3カ月連続100時間超は9人 負担軽減へ、自治体間の連携課題
大規模災害の被災自治体では罹災証明書の発行業務などで応援職員が必要になる=昨年9月2日、武雄市役所

 昨年8月末に記録的豪雨に見舞われた佐賀県武雄市と杵島郡大町町で、市町職員の少なくとも82人が月100時間を超える時間外勤務(残業)を強いられていたことが分かった。月100時間は過労死の労災認定の目安とされる。全国で大規模災害が相次ぐ中、自治体間の連携強化など職員の過重負担を軽減する取り組みが課題になっている。

 両市町が管理職を除く正職員の9〜11月の月ごとの残業時間を明らかにした。発生当日の8月28日から31日までの分は算出していないが、両市町の総務課は「勤務可能な職員のほとんどが不眠不休に近い状態で働いた」としている。

 9月の時間外勤務が100時間を超えたのは武雄市46人、大町町36人で、全正職員(管理職を除く)に占める割合は武雄市15%、大町町46%だった。両市町とも防災担当の職員が最も長く働き、残業時間は9月だけで約220時間に上った。

 11月まで3カ月続けて100時間を超えたのは武雄市7人、大町町2人。発生直後は災害ごみの処理や罹災(りさい)証明の発行など応急対応に負担が集中したが、現在はインフラ復旧や被災者の生活再建に携わる職員が業務に追われ、過重労働が長期化している。

 厚生労働省は働きすぎて病気や死亡に至る残業時間の目安(過労死ライン)を単月で100時間、2〜6カ月間で月平均80時間としている。両市町によると、心身の不調を訴える職員は把握していないという。

 大規模災害の際、被災自治体は膨大な業務を担うことになる一方で、行政の効率化で職員は減少傾向にある。自治体間の連携が重要になり、国は各自治体に応援職員を円滑に受け入れるための「受援計画」を策定するよう促しているが、大町町は策定していなかった。

 坂井清英総務課長は「防災担当の職員が消防や交通安全も兼務し、計画の策定まで手が回らない事情はあったものの、今は必要性を痛感している」と述べ、近隣市町以外に県内の小規模自治体同士で応援協定を結ぶ考えを示した。

 武雄市は昨年2月に策定した「受援マニュアル」に沿って、7人の受援班が多方面から寄せられる人的・物的支援の受け入れの調整に当たった。後藤英明総務課長は「マニュアルのおかげで受け入れはスムーズにできた」と振り返りつつ「それでも人手は足りなかった」と話し、他の自治体との一層の連携を模索していく。 

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