第56回 世帯所得は1998〜2007年で100万円も減少

厚生労働省は5月21日、2008年6月に実施した「国民生活基礎調査」を発表しました。それによると、1998年に544万円であった全世帯の所得の中央値(全世帯の所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分した境界値)は、2007年には448万円になって、約100万円減少しています。2007年の平均所得は556万円ですが、それも1998年と比べると約100万円落ち込んでいます。10年足らずのあいだに世帯所得が中央値でも平均値でも100万円も減るというのは、かつてなかったことです。

世帯所得に比べると、有業者1人当たりの所得は当然のことながらさらに低くなります。
厚労省のHPの関連データには労働者1人当たりの平均所得は見あたりませんが、かわりに「平均稼働所得」(雇用者所得、事業所得、農耕・畜産所得、家内労働所得などの勤労所得)を見ると、1998年から2007年の間に388万円から2007年の313万円になって、約2割(19%)減っています。

参考までに国税庁「民間給与実態統計調査」によると、労働者(給与所得者)の平均賃金(給与)は、同じ期間に418万円から367万円になり約51万円減っています。

こうした数字には、調査時期の関係で、2008年恐慌にともなう昨年秋以降の残業手当の激減や、ボーナス・諸手当の大幅な削減、本俸の切り下げなどは反映されていません。したがって、現状がこれらの数字よりさらに悪化していることは火を見るより明らかです。と同時に、所得の未曾有の減少を示すこの戦慄すべき数字から、所得の減少にともなう消費のかつてない大きな落ち込みが今回の恐慌に大きな影を落としていることを知ることができます。

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