第176回 命令教育大好きの橋下大阪市長の昨日の記者会見に思う

昨朝の橋下大阪市長の定例記者会見の様子をネットの動画配信で見ました。質問する記者に逆に質問を浴びせ、大声で罵倒する橋下氏の論法に恐怖を思えました。

橋下氏の偉そうな物言いは、感情を剥き出しにしているように見えながらも、周到に演出されたプロレスにおける「バトル」の口上のようなものです。それについて感想を言うのは、話題作りを意図した橋下氏の思う壺にはまるようですが、黙っているのもしゃくなので感じたことを述べます。

橋下氏の受け答えを聴いていて、これは橋下氏の一人芝居だと感じました。彼は相手の質問を遮って自分の思い込みだけを繰り返し執拗にまくし立てているからです。また一人の記者を逆質問で罵倒し非難するやり方に、これは吊し上げだとも感じました。吊し上げはふつう大勢が個人を人前で激しく非難することをいいますが、大勢の橋下支持者がネットで視聴することを計算に入れたうえで一人の記者を難詰することも吊し上げだと言えます。

とりわけ呆れたのは、橋下氏が教育行政の決定権者について逆質問をして、質問した記者に対して、「答えられないんだったらここに来るな。命令の対象のなかに全部入っている。命令を読め」と命令しているとことです。彼は、自らが金科玉条にしている教育条例の「君が代」起立斉唱命令を読め、と公務員ならぬ記者に命令しているのです。

これは本講座の第89回「大阪府知事の教育論は百パーセント間違っています」(2011年6月13日)に書いたことですが、橋下氏は、ある記者の記事に噛みついて、「教育とは2万%強制です」「生まれたての赤ちゃんから大人になるまで、教育は強制そのもの」と、なじっています。「ほっといたら、挨拶だってできません。おしっこだって、その辺でし放題」、だから強制が必要だというのです。

しかし、子どもの成長と発達を促す教育は強制や命令ではできません。おしっこの躾が自発や自覚を待たずに、強制や命令でできるのなら子育ては苦労しません。そもそも、記者会見の席で一人の記者を「勉強不足」「とんちんかん」とののしりバカ呼ばわりする命令主義者の橋下氏は、子どもの教育を語る資格を欠いているように思います。

この点では、高校の野球部コーチで進学塾の塾長もしているという教育のプロの、下に引用したツイート発言に同感です。ちなみに橋下氏は、ほかにすることがあるでしょうに、ツイッターでこの発言にも噛みついています*。

「橋下徹は『クソ教育委員会』『バカ教員』『文科省はバカ』『バカ記者』などと、他人の人格を平気で傷つける発言を公の場で数多く行っています。知事や市長以前にまともな社会人の取る態度ではありません。このような人物に教育を語る資格があるのでしょうか」。

 

*これは私の早とちりでした。ここに出ていたのは2011年5月19日の橋下氏
のツイートです。しかし、今回の会見後に醜態を曝した自分を庇うために記者
攻撃のツイートをまるで機関銃のように連続発射しているところをみると、や
はり、「もっとほかにすることがあるでしょうに」と言いたくなります。

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