大阪市立桜宮高校2年生の男子がクラブの顧問教師から体罰を受けて自殺したことが大きな議論になっています。
今日の朝日新聞に「ビンタ張り昔軍隊いま部活」という川柳が出ていました。また、今日のしんぶん赤旗の識者コメントで教育評論家の尾木直樹さんが「日本の学校教育の歴史上、体罰が公に認められたことはありません。戦時下、軍事教練が学校に持ち込まれたときに、生徒を命令に服従させるために使われたものです」と述べています。
インターネットに「徴兵制の復活を公言する11人」というサイトがあります。そこに出ている日本維新の会代表の石原慎太郎氏は、都知事時代に「日本は核を持て、徴兵制やれば良い」(11/06/20)と言っています。もう一人の代表の橋本徹氏はタレント弁護士時代のテレビ番組で「 責任を根付かせる為には絶対僕は徴兵制は必要」(05/06/05)と語っています。 これまた維新の会の東国原英夫氏は宮崎県知事であったときに「徴兵制があってしかるべきだ。若者は1年か2年くらい自衛隊などに入らなくてはいけないと思っている」(07/11/28)と述べています。
学校の教育現場で鉄拳制裁が絶えないのは、徴兵制復活や軍隊教育の導入が呼号される昨今の風潮と無関係ではありません。とくに今回の事件に関しては、橋下徹氏の言動を見逃すことはできません。
橋下氏は、府知事のときも体罰容認発言をしています。2008年9月の大阪府と府教育委員会の討論会では、「口で言ってきかないなら手を出さなきゃしょうがない」と公言しています。また、大阪市長になってからも、昨年10月の教育振興基本計画有識者会議で、「もみあげつまんで引き上げるくらいはいい」「胸ぐらをつかまれたら放り投げるくらいまでならオッケー」と体罰を推奨しています。
そもそも橋下氏は、「教育とは2万%強制です」「教育は強制そのもの」と言って憚らないような人物です。強制は「生徒を命令に服従させる」ことにほかなりませんから、結局、ビンタ張りもオッケーということになります。
こうした橋下氏の言動が今回の体罰自殺事件の背景にあると言いたいのではありません。しかし、体罰を容認し強制教育を推奨する市長のもとで、体罰をなくす教育を進めることはきわめて困難です。強制と命令の雰囲気が強まり、先生も生徒もピリピリ神経を張り詰めすり減らしているなかでは、明るく楽しい学校は創れません。