第253回 ネット上で派遣の社員食堂利用禁止をめぐって大討論

派遣社労働者が派遣先の社員食堂を利用できない会社があることについては前から問題になってきました。

それがここにきて議論に火がついた感じになっています。おそらく派遣の恒久化を意図した制度改悪が急を告げていることと無関係ではないように思われます。

やり玉に挙がっている一例は楽天です。Panasonicの例も挙がっていますが、楽天は社食も食堂も正社員以外には使わせずに、派遣労働者に対しては近くのイオンスーパーのフードコートを利用するように指示しているようです。

別のサイトには、楽天で派遣の面接を受け、「面接前に派遣会社の社員にハッキリと『派遣社員は食堂利用不可』と言われました。面接時に楽天社員にも質問しましたが、同じ答えでした」という体験談が出ています。(派遣先の面接は禁止されているはずなのに、楽天では面接をしているのでしょうか)。

こういう派遣社員の締め出し制度に対して、抗議の声が上がっています。「三木谷は英語を社用語にする前に、食堂を派遣労働者に解放しろ!」という書き込みもあります。派遣先は 「(派遣労働者に対して)その雇用する労働者(社員)が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用に関する便宜を図るよう努めなければならない」 という厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」を持ち出して、「このIT企業は、労働者派遣法の趣旨やガイドラインに違反しているといえるのではないでしょうか」というコメントも寄せられています。

しかし、矛先を派遣労働者に向けている意見もあります。あるサイトでは、正社員と仲がいいからか、社員食堂でランチを取っている派遣のAさんに対して、同じ職場の派遣労働者が、「これが人事にばれたらA自身だけでなく、普通に書庫で食べてる私らまで契約解除されるでしょう」「確かなのはAにはルール違反してるという自覚が全くないことです」「明日は集団で食堂に乗り込んで、Aを首に縄つけても書庫に引っ張りこんで飯を食わせる予定」と書いています。 別の派遣労働者は、「自分は食堂(利用禁止)ルールは理不尽だとも思ってないし、非正規である以上当然だと思います」という感想を漏らしています。

実は社員食堂の労働者も派遣かもしれません。上で紹介したのとは別のあるサイトでは、社員食堂でまかないとして働くようになったばかりの派遣社員の女性が、「OKWave」のQ&Aコーナーに、仕事を辞めるべきかどうかについて以下のような理由を付して質問しています。「食事の時以外座ることはありません。毎日足が棒のようになり辛いです」「蒸気+蒸れで気持ち悪くなります」「常に指示待ちです」「(お金が必要なのに)足が疲れきってかけもちができる状態ではありません」。

「労働者の格に応じて使えるトイレを分けている会社もあるよ」というコメントも見ました。派遣労働者に対する福利厚生差別の根は深いようです。

(注)火付けの発端の一つはblogosの2014年3月18日付けの次の記事です。
無料の社員食堂は「派遣社員の利用ダメ」 有名IT企業の「非情」
http://blogos.com/article/82545/

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