選択的夫婦別姓 反対わずかに上回る

東京新聞 2013年2月17日 朝刊
 
内閣府が十六日付で発表した「家族の法制に関する世論調査」によると、選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正の可否について「必要はない」とする反対派が二〇〇六年の前回調査と比べ1・4ポイント増の36・4%で、「改めても構わない」の賛成派35・5%(前回比1・1ポイント減)をわずかに上回った。同様の調査は四回目で、反対派が賛成派を上回ったのは初回の一九九六年以来。
 

 ただ男女ともに五十代までは賛成派、六十代以上は反対派が多数を占め、世代間で意識のずれが顕著だ。特に、結婚でこの問題に直面する二十代、三十代の女性はそれぞれ53・3%、48・1%が賛成。前回比で6・9ポイント、7・9ポイントの大幅増となり、反対派との差が広がった。 

 旧姓を通称として使える法改正は容認するとの回答は前回比1・1ポイント減の24・0%だった。
 
法制審議会(法相の諮問機関)は九六年に同制度導入を含む民法改正を答申しているが、法務省民事局は「家族の根幹に関わる重要なことで国民の理解を得ながら進めていく必要がある」としている。
 
家族の一体感に関する質問では、「名字が違っても家族の一体感には影響がない」との回答は59・8%で、前回比3・8ポイント増。逆に「名字が違うと家族の一体感が弱まる」は36・1%で3・7ポイント減だった。調査開始から一貫した傾向が続いており、法改正に慎重でも、多様な家族の在り方を認める意識が広がっていることがうかがえる。
 
調査は、昨年十二月に成人男女五千人を対象に行い、回収率は60・8%だった。
 
◆当事者意見重視を
 
夫婦別姓に詳しい榊原富士子早稲田大大学院教授の話 この問題の一番の当事者である二十〜三十代女性の意見を重視すべきだ。通称容認派も含めると80%以上が夫婦別姓に何らかの必要性を感じていることを示しており、結婚して子供を産んでも働きやすい環境を整えることが重要だ。女性が社会に出て働かなければ、安倍政権が掲げる景気浮揚も見込めない。世論調査の対象が高齢層に偏っていることも気にかかる。

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