景気判断据え置き 円安・株高 定着見極め 実体経済、回復に弱さ

産経新聞 4月13日

 景気の基調判断が4カ月ぶりに据え置かれたのは、生産や消費など実体経済の回復に手間取っているためだ。アベノミクスへの期待感から急速に進んだ株高・円安が景気を押し上げるかを見極めるまで、企業や家計は大きな投資に対して慎重にならざるを得ない。実体経済の復調を伴った景気の力強い回復につなげるには時間がかかりそうだ。
 
3月の景気ウオッチャー調査では、街角の景気実感を示す現状判断指数が過去最高に並ぶなど、株高で世の中の景況感は急速に改善している。しかし、消費の本格回復に向けた足取りは鈍い。例えば、2月の首都圏マンション販売は前年同月比10・9%減、3月の国内の小型・普通車販売は15・6%減とマイナスから抜け出せない。
 
小売りの現場は二極化の動きが顕著だ。株高による資産効果で高額商品が売れ、全国百貨店売上高は2月まで2カ月連続で上昇する一方、全国スーパー売上高は2月まで1年連続でマイナスだ。給与増の実感がわかない中で、家計の節約意識は強く、日用品の売れ行きが伸びないためだ。
 
消費の回復の遅れに加え、中国向け輸出の伸び悩みから国内生産も力強さを欠き、設備投資も低調だ。
 
民間設備投資の先行指標となる機械受注は、船舶・電力を除く民需の1〜3月期の受注額が平成24年10〜12月期に対して当初のプラス予想から一転、2四半期ぶりにマイナスに転じる可能性が大きい。
 
設備投資の拡大を伴った実体経済の復調が鍵となるのは間違いないが、企業は円安・株高が定着するかについて自信が持てないでいるようだ。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「輸出の回復ペースも鈍いなか、当面は設備投資の力強い回復は期待しにくい」と話す。

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