サラリーマンと変わらない?「医師の給与」、実態は過酷… (12/23)

サラリーマンと変わらない?「医師の給与」、実態は過酷…
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2019/12/23(月) 10:00配信 幻冬舎ゴールドオンライン

世間一般のイメージでは、「医師=高収入」と認識されています。しかし、「開業医」「勤務医」「勤務する地域」によって、賃金に大きな差があることをご存知でしょうか? 医師向けの資産形成サイト「勤務医ドットコム」を運営する、東京不動産投資株式会社の代表取締役・秋葉侑輝氏が解説します。

サラリーマンと変わらない?「医師の給与」、実態は過酷…
医師のお金事情…実は厳しい?

医師の「生涯年収」は高いものの…
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの平均年収は441万円であり、生涯年収(40年)に換算すると2億円弱です。ただし、サラリーマンといっても業種で年収に幅があるので、収入が多い人は約2.5〜3億円になります。

一方、医師の生涯年収は、サラリーマンの1.5〜2倍以上というデータが存在しています。『病院賃金実態資料』において、医師の生涯年収は全国平均「約4.8億円」という調査結果が出ているのです。

確かに、医師が高収入の職業であることは間違いありません。しかし、約4.8億円というデータはあくまでも平均であり、場合によってはサラリーマンよりも年収の低いケースがあるのです。

◆研修医・大学病院の勤務医はサラリーマンより賃金が低い?

医学部を卒業して医師免許を取得したあとは、研修医として働き始めます。都内など人気の高い病院では、研修医の年収を300万円代に設定していることも多く、サラリーマンの平均よりも低いことが一般的です。研修医は労働時間が長いうえ、最低でも2年間継続する必要があるので、高収入を得るまでには期間を要します。

また、大学病院の勤務医の場合、20〜30代後半までの年収は、300〜600万円と段階的に上がっていきます。一般病院と異なり、「講師」「助教授」「教授」と昇進するにつれて年収が上がる仕組みです。

教授になると1,000万円台が見込まれますが、キャリアを積めば誰でもなれる職業というわけではありません。昇進が年収に関わる大学病院では、開業医などに比べ、高収入を目指すのは難しいといえるでしょう。

サラリーマンと逆転現象が起きている「医師の給与」
◆生涯年収は「開業医」「勤務医」「地域」で差がある

実際のところ、医師の生涯年収は「開業医」「勤務医」「勤務する地域」など、さまざまな要素が関係していきます。

◆開業医

個人で開業する場合、院長の平均年収は約2,800万円、30年で生涯年収を計算すると約8億円に上ります。美容整形をはじめとした自由診療の場合は、さらにその額が跳ね上がります。

勤務医に比べ超高収入に見える勤務医ですが、経営者としてのリスクを考慮しなければなりません。多額の開業資金のみならず、看護師やスタッフの給与設定、施設の建設や建替え、医師本人の休業補償など、勤務医にはないコストがかかります。軌道に乗れば高収入が期待できるものの、ハイリスク・ハイリターンな職業といえるでしょう。

◆勤務医

研修医では、サラリーマンと年収がさほど変わらないとお伝えしましたが、民間病院の勤務医の場合、勤続5年ほどで年収1,000万円を超える可能性は十分あります。実際、一般病院の勤務医の医師は、年収1,500万円ほどの収入が多いようです。厚生労働省のデータでは平均年収が1,500万円、生涯年収にすると4.5億円ほどであり、平均値とほぼ同じという結果です。

●地域

マイナビのデータによると、政令指定都市や東京23区などの主要都市と、そのほかの地域では年間で500万円以上の格差が生じていることもあるそうです。たとえば、鹿児島県の医師の年収は約1790万円ですが、都内の場合は「約1180万円」と算出されています。サラリーマンにとって、東京23区は、賃金の高い地域ですよね。しかし医師の場合、需要と供給のバランスから、逆転の現象が起こるのです。

若い医師は、研究設備が整っている都市部の病院を希望する傾向にあります。人口が集中しているため大学病院の数も多く、医師の数のケタが違います。一方、地方の生涯年収が高い理由は、「医師不足」「医師の年齢が高いこと」にあります。医師を確保するために高い給与を出すため、都市部よりも年収が引き上げられるのです。

結果、「都市部の医師の給与は安く、地方は高い」という、一般的な企業では考えにくい現象が発生しています。

◆退職金・企業年金がない医師は生涯年収の目標を設定すべき

サラリーマンよりも年収が高いといえど、一般企業には当たり前にある退職金や企業年金などの保障制度を、多くの医師は受けることができません。そのため、目先の収入だけにとらわれず、安定した収入を確保できる制度に加入することが重要です。

病気などで働けなくなった場合、引き下げられた賃金を保障する「医師向けの所得補償保険」や、転職しても退職金が受け取れる「医療従事者退職金制度」などがあります。先を見据えて、収入の安定を図りましょう。

◆まとめ◆

医師の年収は、病院の経営母体(民間 or 公的)、地方、診療科目など、賃金を決める要素が多く、サラリーマンよりも生涯年収の見通しが立ちにくくなります。そのため、生涯年収をアップしたい場合は、目標を設定し、働き方を変えることが必要です。

「忙しくても収入の高い病院に一定年数勤務する」「アルバイトを増やす」「ワークライフバランス重視で病院を選ぶ」など、やり方はさまざまあります。引く手あまたの医師だからこそ、柔軟性のある働き方を活用し、生涯年収アップと収入の安定を視野に入れておきましょう。

秋葉 侑輝

東京不動産投資株式会社 代表取締役

秋葉 侑輝
 

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