第41回 休講脱線 探鳥も凧揚げもせず松が取れ

今年の正月はみじめでした。毎年たいてい三箇日のうちにしていた探鳥も今年はまだ行っていません。恒例の淀川河川敷公園での正月の凧揚げも行けずにいます。今日までに出かけたのは、大学の講義が1日、近くの郵便ポストに行ったのが1回、近所のスーパーに自転車で走ったのが1回というところです。

それ以外は何をしていたか、ですって? 来客への応接と孫の相手もありましたが、ほとんどは部屋こもって原稿書きをしていました。6日まではある雑誌に頼まれて、この講義の第32回から第40回までの内容に手を入れ、非正規労働者を襲った08恐慌について書いていました。その後は、年末にいったん書き終えていた「ホワイトカラーの受難と反撃」に関する新書の原稿を、最近の経済情勢に即応するように改稿していました。

思い返せば、昨年の冬は、心臓弁膜症の不養生で胸に溜まった水を抜くために、数週間入院していました。入院中は、パソコン仕事もしましたが、退屈なときは、小説を読んだり、ベッド脇のテレビを見たり、見舞いに来てくれた人が貸してくれたラジオを聴いたりしていました。

入院中の昨年1月16日だったか、先日お亡くなりになった牟田悌三さんがNHKの「ラジオ深夜便」に出演されていて、ボランティア活動や北大時代の話をされておられました。そのなかで印象に残って手帳に記したメモがあります。それは札幌農学校初代教頭であるクラークが日本を去るときに残した「少年や大志を抱け」という言葉です。

Boys, be ambitious!
Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement,
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”

少年よ、大志を抱け!
お金のためではなく、私欲(自分の栄達)のためでもなく
名声という空虚な志のためでもなく
人はいかにあるべきか、その道を全うするために、大志を抱け

牟田さんからこの文章を聴いて、目が覚めました。というのは、ambitiousという言葉を「野心的な」と覚え込んでいて、後の言葉を知らなかったために、「大志」といわれても、どことなく貨幣欲に通じるイメージを抱いてきたのが、完全な思い違いであったことがわかったからです。60歳をとっくに過ぎた身で、恥ずかしいかぎりです。

そういえば今年の仕事始めの一つはラジオでした。2日前に打ち合わせて、1月9日の朝7時15分から15分間、広島RCCラジオの「リンリン情報」に「派遣切り」の問題で電話出演しました。朝が大の苦手の私には苦役でした。

さかのぼって、1月2日は午前7時15分からの「ラジオあさいちばん」で10分ほど、最近の雇用情勢について話しました。夜は日本のカルテ 希望の国への処方箋」第2夜「揺れる雇用 働き方」(午後9時30分〜10時55分、ニュースを挟んで85分)に、全国ユニオン会長の鴨桃代さんと、富士通総研経済研究所主任研究員の渥美由喜さんとごいっしょに出演しました。ただし、この二つは12月23日に渋谷のNHK放送センターで収録していましたから、実際には昨年末の仕事でした。

研究仲間の高田好章さんがご自分のホームページにNHKラジオの二つの録音を載せてくれています。まだの人はここをクリックして朝の10分の話だけでも聴いてください。

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