第209回 天王寺動物園の元旦開園を迫る橋下大阪市長のつぶやきが批判を浴びています。

百貨店の元旦営業について書こうと思ってネットを検索していたら、天王寺動物園の年末年始営業に関する橋下大阪市長のツイッター発言をめぐる論議が目に止まりました。

発端は12月30日に発信された「@t_ishin」さんのつぎのような「つぶやき」です。

<昨日、仕事が正月休みに入ったので、子どもを連れて、天王寺動物園に遊びにいったら正月休みでした。働いている人は大変かもしれませんがこういった施設は、みんなが休みの時に、にぎあうので29,30日くらいまで開けられないでしょうか?>

これに対して橋下市長は、次のように応答しています。

<天王寺動物園を都市型動物園として大阪の集客施設の目玉にしようかと議論しているところです>。<天王寺動物園には、経営的視点から入園者の立場に立てと指示しているのですが、正月休みを取ると言う時点でアウトでしょ。完全にお役所仕事。入園者を必死で増やす意識0。倒産しないお役所の意識丸出し。テーマパークで正月休みを取っているところってあるのかな。入園者が少ない平日に休めばいい>。

天王寺動物園の公式サイトでは、休園日は、毎週月曜日(休日にあたる場合は翌平日)と年末年始(12/29〜1/1)となっています。正月も2日からは開園しているのですから、正月は休んでいるかのような橋本市長の言い方は不正確です。動物園を「テーマパーク」のような「集客施設」とみているのは、動物園が単なる見世物や商業的な娯楽施設ではなく、生きた動物を飼育・展示する博物館的な研究・教育施設としての役割を持っていることを無視した暴論です。働く者とその家族の正月の持ち方への配慮はみじんもありません。

総選挙後の橋下ブームの冷え込みを反映しているからなのか、問題の市長発言が労働者や市民の感覚からずれているからなのか、ツイッター上では、橋下発言を支持する意見よりも、批判する意見の方が多いように見受けられます。以下、私が同感する批判のいくつかを紹介します。

<まず、お前さんがちゃんと市長として働けよ>。

<働く人の後ろには当然家族がいるわけで、正月に働かせるという事は、その働いている人の数分の家庭から「家族そろった正月」を奪う事になる>。

<動物の世話っていうのは年中無休なハズだから、たぶん裏方さんは誰かしら出てると思うんだけど、それでも休園ていうのは年明けに向けての準備も込みなんじゃないですかね?……年末ギリギリまで開園するとしたら三ヶ日は休むとかの配慮は必要だろうし、正月2日から開園するために年末休んでるんじゃないのかな>。

<橋下市長のツイッターは要するに『議員の口利き受付窓口』なんですかね。陳情の方法はちゃんとあるのに、市長案件が他を押しのけてすばやく処理されるんだったら、同じ市民の要望でも、緊急性や重要性以外に市長の案件であることが有利になってしまう。公平性を欠きます>。

<へー、じゃあ土日市役所が開いてないのは働く気がないからですよね? つーか土日に市役所が開いてくれると企業的には非常にありがたいんだけどね>。

<橋下さん、保守じゃないのかな? 保守なら「みんな実家に帰って家族でゆったり過ごすのが日本の正月だろ」くらいのこと言うかと思いきや。ラモス瑠偉ならそう言いそうな気がするぞ>。

<そもそも本来正月は休みだよ。いい加減元の形に戻しなよ。スーパーとかにいるお客様サービス対応係にでもなったの?>。

<ダイエー中内功が始めた正月営業だけど、結局現場に負荷がかかるばかりで社会全体の幸福は減少してるのじゃないかと思うよ。流通業界だって正月くらい休みたいのが本当じゃないのかな。橋下市長のいう「民間」ってブラック企業にしか思えない>。

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