技能実習制度は強制労働/首都圏移住労働者ユニオン 本多ミヨ子書記長 (2/17)

技能実習制度は強制労働/首都圏移住労働者ユニオン 本多ミヨ子書記長
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連合通信 2020/02/17

 外国人労働者の個人加盟組合、首都圏移住労働者ユニオンは2010年以降、外国人技能実習制度について国際労働機関(ILO)29号条約が禁じる強制労働に当たるとの申し立て書を毎年提出している。総会での審議には至っていないが、今年の条約勧告適用専門委員会(CEACR)報告書は同制度を「強制労働にも等しい労働権侵害」と厳しく批判し、日本政府に実習生の保護措置を求めた。なぜ、強制労働なのか。本多ミヨ子書記長に話を聞いた。

(上)借金で自由を剥奪
本多 4分野8条約から成るILOの中核的労働基準には、強制労働に関する条約(29号)と強制労働の廃止に関する条約(105号、日本は未批准)の二つが含まれています。非常に重要な位置付けです。ILOは強制労働を(1)処罰の脅しによって働かされていること(2)望まない労働をさせられること――と定義しています。

 実習生は送り出し国で「経費」「手数料」などの借金を抱えて来日します。かつては「補償金」と言われていました。日本の雇用主は、実習生が労働条件で不満を言えば、「帰国させるぞ」と脅し、最大限に借金のしばりを活用します。これが「処罰による脅し」に当たるのです。自国の稼ぎで補償金を返済するのは難しく、事実上、帰国できません。

 借金は送り出し国で発生するため、日本政府が規制しても解決は不可能です。ブローカー、送り出し機関、日本語学校などの利権構造が確立されています。

「日本で働けば月10万円は仕送りできる。経費の借金も半年程度で返せる」などというブローカーの甘言に乗ってしまったら後戻りはできません。準備段階から実態のない経費を実習生の借金にして、働かせ、三者のもうけにする。前近代的な奴隷的労働の制度です。

 二つ目は実習生自身で雇用主や仕事を変えられない点です。機構に提出する実習計画に沿って、技術を身につけるのが制度の建前。途中で雇用主を変更すると、計画の一貫性がなくなるというのが、政府側の言い分です。そのため、実習生は望まない仕事であっても従事しなくてはならず、自由な職場の異動はできません。外国人技能実習機構が異動を認めるのは、よほどひどい不正行為のケース。雇用主を変更できないことが、実習生の失踪を誘引しています。

 以上の2点は法改正や小手先の施策では解決できない。だからこそ、制度は廃止するしかないのです。

 

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