コロナ労働相談:有給

「会社から、コロナ休業の期間中の賃金が欲しければ、有給を取得しなさい、と言われました。有給を使うしかないのでしょうか」

年次有給休暇は、原則として労働者の希望に応じて取得できるものです(労働基準法39条5項本文)。

会社が有給をとる時季を指定できるのは、「請求された時期に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」のみです(労働基準法39条5項但書)。

「休業して事業を運営しないようにする」場合に、休業期間を有給取得日に指定することは、法律上許されていないのです。

したがって、コロナ休業の期間に有給を取得せよ、という指示・指導に従う必要はありません。

コロナ休業期間中はあくまで「使用者の責めに帰すべき事由」による休業だとして、通常の賃金の支払いをもとめましょう。

なお、子育て世代の労働者の方で、臨時休校のために仕事を休まざるを得なくなった方に、年次有給休暇と同額の賃金を支払えた使用者には、日額8330円を上限とする助成制度が設けられています。子育て世代の労働者は「使用者にはこの制度があるのだから、有給を消費する形ではなく、自分たちに通常の賃金を支払え」と交渉していくことも有用です。

この記事を書いた人

脇山美春