伍賀一道(金沢大学名誉教授)「休業者600万人(20年4月)はどうなったか ― 『労働力調査』(5月結果)をもとに ―」 (7/6)

(4)アルバイト学生への緊急支援が不可欠
 学生アルバイトは今年3月から4月にかけて激減しました(5月31日付け掲載の拙文参照)。5月には多少改善しましたが、減少傾向は続いています(図7)。休業を余儀なくされたアルバイト学生に対する休業手当の支給や学費の減免、緊急の生活支援などの措置を急ぐ必要があります。

 厚生労働省は労働組合や市民団体などの要求に押されて新型コロナウイルス感染症に関わる休業補償の緊急対応措置を実施しています。学生アルバイトなど雇用保険の被保険者でなかった労働者に休業手当を支給した事業主に対しても新たな助成措置が設けられました(緊急雇用安定助成金による助成)。アルバイト先の多くは小零細規模と考えられますが、事業主がこうした制度を積極的に活用して休業手当の支給が実現するような運動が求められています。

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 これまで「労働力調査(基本集計)」の5月結果をもとに現時点の雇用・失業状況について、休業者に焦点をあてて見てきました。休業者が失業予備軍を含むことで完全失業者の急増に至らないでいます。雇用調整助成金の拡充など厚生労働省の緊急対応措置が進みつつありますが、この措置は今年9月末で終了予定です。感染第2波が懸念されている今、コロナ危機が収束する見通しはありません。法令どおりに休業手当を支払われても、これまでの生活を維持するには到底足りません。休業手当の拡充、新たな失業保障がなければ休業者から完全失業者に移行する可能性が大です。

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