世界では、「誤分類」という言葉が広がっています。
これは、本来、使用者(企業)が、労働法や社会保障法の適用をすることが必要な従業員を労働者でなく、個人請負などの雇用とは異なる契約で労働者との契約を結び、「事業主」として従来とほとんど変わらない状況で労働力を利用するという違法な労務管理です。
これは古くからの違法な労働力利用形態ですが、世界では「自営業者(self-employed)」と呼ばれ、プラットフォーム労働の広がりの中で、急速に広がり大きな問題になっています。
日本でも古くからの、そして、新たな労働問題の一つとなっています。適当な呼び方がなく、「非雇用」、「名ばかり個人事業主」と呼ばれてきましたが、最近になって、政府の中で「雇用によらない働き方」などと、これを積極的に拡大する方向での論議が高まって、2020年3月の「高年法」改正の中で、高齢者の「業務委託契約」による利用が法的に位置づけられました。
しかし、世界では、ILOやEUを先頭に、この従業員の独立請負人への「誤分類(misclassification)」として、その弊害排除が問題となっています。
アメリカでは、連邦政府、各州政府で、この「誤分類」を規制する政策が論議されています。
当面、この「誤分類」についての情報を集め、関連した情報を掲載していくつもりです。
今回は、アメリカ連邦政府・労働省のホームページの「誤分類」の詳しい情報の中で、
「労働者と使用者の間に雇用関係があり、FLSA(公正労働基準法)の適用範囲内であれば、労働者は公正労働基準法に基づく最低賃金と残業代の保護を受ける権利があります。賃金労働時間課(Wage and Hour Division)は、従業員が独立請負人として誤分類され、重要な給付(benefits)や労働基準の保護を拒否されたか否かを判断する責任があります。」
その一部である「誤分類にまつわる迷信」を試訳してみました。以下で、紹介します。
なお、これまで、このAsu-netブログでも関連した記事を掲載しています。
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なお、連続エッセイでは、以下の記事があります。
第25回 「雇用によらない働き方」についての考察(上)
第26回 「雇用によらない働き方」についての考察(中)
第27回 「雇用によらない働き方」についての考察(下)
第44回 『ディスガイズド・エンプロイメント 名ばかり個人事業主』を刊行して
(文責 swakita)
誤分類にまつわる迷信(Myths About Misclassification) → クリックすれば、pdfが閲覧、ダウンロードできます。
目次は、以下の通りです。
誤分類をめぐる迷信
迷信と事実
- 私が1つの法律の下で独立請負人である場合、私は他の法律の下で独立請負人です。
- 私が独立請負人として分類されている場合、私は失業保険(UI)の資格がありません。
- 私は使用者から1099の納税申告書を受け取りました。これにより、私は独立請負人になります。
- 私が独立請負人または従業員として分類されている場合でも、違いはありません。
- 私は独立請負人契約を結んだので、私は独立請負人です。
- 私は給与支払名簿に載っていないので、従業員ではありません。
- 私は自分の使用者識別番号(EIN)または書類を持っており、有限責任会社(LLC)またはその他の事業体としてサービスを行っていることを示しています。これは、私が独立請負人であることを意味します。
- 私の使用者は私が独立請負人になることを望んでいます、そしてそれは私が従業員ではないことを意味します。
- 私はテレワークまたはオフサイトで働いているので、独立請負人です。
- 私は何年も独立請負人です。これは、私が独立請負人であり続けることを意味します。
- 私はフランチャイズを運営しています。これは私が独立した事業であることを意味します。
- 私のような労働者を独立請負人として分類することは私の業界で確立された慣行であるため、私は独立請負人です。