「被災地派遣で過労死」大阪府職員遺族、公務災害申請へ

産経ニュース2011.8.25

 東日本大震災の被災地支援で岩手県に派遣されている間に死亡した大阪府職員の男性=当時(49)=について、環境の変化に伴う過重なストレスが死亡の原因だったなどとして、遺族が公務員の労働災害(労災)に当たる公務災害を25日に申請する方針を固めたことが24日、関係者への取材で分かった。震災で被災地以外から派遣された自治体職員の過労死認定を求めるケースが明らかになったのは、今回が初めて。

 総務省によると、東日本大震災の復興に向けては、全国の都道府県と市区町村から、被災した自治体に職員延べ約5万7千人が派遣された(7月1日現在)。こうした派遣職員を頼りにする被災自治体が今も多い中、今回の申請で公務災害が認められれば、“震災過労死”の防止に向け、派遣職員の健康管理や労務管理のあり方に一石が投じられる可能性がある。

 関係者によると、死亡した男性は府健康医療部に所属していた技師。

 4月3〜7日、岩手県宮古保健所(宮古市)に派遣され、医療チームが避難所を巡回健診する際の車の運転を担当。さらに5月12日にも5日間の予定で県宮古保健所へ派遣され、同様の業務に当たっていたところ、同14日の業務終了後、宿泊先のホテルで体調不良を訴え、宮古市内の病院に搬送されたが、同20日に脳内出血で死亡した。
男性が受けていた健康診断では脳や血圧に異常はなかったが、1回目の派遣後、大量のがれきによる道路事情の悪さや、不慣れな環境での業務によるストレスを周囲に漏らしていた。また派遣される前後も、仕事をしていたという。

 産経新聞の取材に遺族は「知らない土地で普段以上に神経を使ったうえ、まったく余裕のない勤務態勢だったが、支援に行ったのに『体調が悪くなった』とは言いづらかったのだと思う」と話している。

 遺族は公務災害の申請窓口に当たる「地方公務員災害補償基金大阪府支部」を25日に訪れて申請書を提出する予定。

 府健康医療総務課は「府として、死亡と公務の因果関係などに関する意見は基金側に伝えるが、意見の内容は明らかにできない」としている。

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 地方公務員の公務災害 民間の労働者が業務で死亡や負傷などをすると、労働基準監督署が「労働災害」(労災)に当たるかどうかを判断して、労災保険の給付の可否を決める。これに対し、地方公務員の場合は、自治体からの負担金を財源にする「地方公務員災害補償基金」が各都道府県・政令市に置く支部を通じて「公務災害」かどうかを決定し、遺族補償や療養補償などを行う。

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