セクハラで停職 地裁「故意ではない」、三郷市に処分取り消し命じる

埼玉新聞 2014年11月29日

 セクハラを理由に停職の懲戒処分を受けた三郷市内の小学校に勤務していた男性元校務員(61)が市を相手取り、処分の取り消しと慰謝料220万円を求めた行政訴訟で、さいたま地裁の針塚遵裁判長は28日、「故意ではない」として処分の取り消しを命じる判決を言い渡した。慰謝料の請求は認めなかった。

 判決などによると、男性は三郷市内の小学校で校務員として勤務していた2012年4、5月の2回、職員室や給湯室で、同じ女性教諭の尻を触ったなどとして、同年6月、停職6カ月の懲戒処分を受けた。男性は処分後、13年1月に市教委へ異動し、同年3月に定年退職している。

 判決は、尻を触ったとされる接触について「原告の故意によるものとは認められず、セクハラには当たらない」と認定。市が出した懲戒処分について「違法な処分であり、取り消されるべき」とした。慰謝料については、市側に過失があったとまでは認め難いとして請求を退けた。

 判決を受け、原告の男性は「名誉が回復されたので大変うれしい」とコメント。原告側弁護士は「懲戒事由が認められないとして処分が取り消されたことは大変に喜ばしい。長くつらい思いをした原告の嫌疑が晴れた」とした。

 三郷市教育委員会教育総務課の高木良郎課長は「判決内容を十分に精査した上で、弁護士と協議してまいります」としている。

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