「ヤマト社員自殺は労災」妻が国を提訴へ 名古屋地裁

朝日DIGITAL 2017年10月7日
 宅配最大手ヤマト運輸(東京)の男性社員(当時45)の自殺は、業務の心理的負担が原因の労災だったとして、男性の妻が6日、国を相手取り、遺族補償年金などの不支給処分の取り消しを求めて名古屋地裁に提訴したことがわかった。
 訴状によると、男性は2015年9月に名古屋市内の営業所に着任。ドライバーのほか、部下の勤務状況などを管理していたが、長時間労働や業務中の事故などが原因で精神障害を発症し、16年4月に自殺した。
 妻は労働基準監督署に労災を請求。労基署は、男性が同年3月下旬には精神障害を発症し、3カ月前の15年12月には過労死ライン(月80時間)を超える102時間の時間外労働があったと認定した。一方、繁忙期は約1カ月間に限られ、配置転換による負担も軽いことなどから、精神障害の発症は「業務外」と判断した。その後の審査請求も退けられたという。
 妻は男性が昼休憩をとらず、タイムカード打刻後も働いていたとして、実際の勤務時間はもっと長かったと主張。配置転換後の業務も過重だったことなどから「不支給処分とした判断は違法だ」と訴えている。
 名古屋北労働基準監督署は「個別案件につきお答えできない」としている。
■男性吐露、アマゾン取り扱い後「毎日が大変」
 「ヤマト運輸で仕事を続けていく自信が完全に折れてしまいました」。男性が妻に宛てた遺書にはそう書かれていた。
 妻によると、男性は仕事を終えると、連絡をくれた。帰宅はおよそ午後9〜11時。タイムカードの打刻時間はそれよりも早かったが、営業所に残って仕事をしていたと妻はみている。
 「毎日が大変」。ヤマト運輸がインターネット通販大手「アマゾン」の取り扱いを始めた2013年以降、そう話していたという男性は昨年1月ごろから体重が減り始め、休日にパジャマ姿のまま過ごすこともあった。
 妻に「ごめん」とLINE(ライン)のメッセージを送ったのを最期に、男性は命を絶った。家庭で仕事の話はほとんどしなかったため、仕事で悩みを抱えていたことは遺書で知ったという。妻は「主人はヤマトが好きで、長時間労働も文句を言わずにやってきた。主人のように頑張っている人が同じようになってほしくない」と訴えた。
 代理人の青木有加弁護士は「労基署と労働者災害補償保険審査官は実態を評価していない。認められるべき事案だと思うので、裁判所はきちっと実態を捉えて、過労による自殺だと認めてほしい」と話している。(仲程雄平)

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