安倍首相、裁量労働の再調査せず=加藤厚労相、データ誤用で故意否定

衆院予算委員会で答弁する安倍晋三首相=20日午後、国会内(省略)
 安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で、「働き方改革」関連法案に絡み問題となった裁量労働制のデータ誤用に関し、実際に働く人の労働時間の再調査を行う必要はないとの考えを示した。立憲民主党の逢坂誠二氏が実態把握のため再調査を求めたのに対する答弁。
裁量労働、異なるデータ比較=政府「不適切」と陳謝
 首相は、再調査を実施しない理由として「労働時間の資料も含めて労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で審議をした」と説明。加藤勝信厚労相も「それ(再調査)をしなければ先に進まないということにはならない」と主張した。
 政府はデータ誤用で、裁量労働制の下で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短いとしていたが、それぞれ質問方法が異なっていたとして、19日に「不適切」と認めた。加藤氏は「作成した者はデータの選び方が異なっていると認識していなかった」と述べ、故意に作成したものではないと主張した。首相は「経緯はしっかりと省内で精査する必要がある」と述べた。
 厚労省の山越敬一労働基準局長は、法案を審査した労働政策審議会に対して調査結果そのものは提示したものの、比較する形では示さなかったと説明した。


安倍首相、データ誤用「深くおわび」=裁量労働、法案撤回せず
衆院予算委員会で答弁する安倍晋三首相=20日午前(省略)
 衆院予算委員会は20日、社会保障と人づくり革命などに関する集中審議を行った。裁量労働制をめぐる厚生労働省のデータ誤用問題について、安倍晋三首相は「性格の異なる数値を比較していたことは不適切で、深くおわびしたい」と陳謝した。しかし、首相と加藤勝信厚労相は、裁量労働制拡大を盛り込んだ「働き方改革」関連法案を撤回せず、今国会に提出する方針を重ねて示した。立憲民主党の長妻昭代表代行への答弁。
連合会長「印象操作的、罪は重い」=裁量労働のデータ疑義に
 長妻氏は、データ作成に当たり、同法案を推進する首相官邸サイドからの「つぶやきがあったのではないか」と追及。これに対し、首相は「経緯を官邸内でもう一度よく調べた。私や私のスタッフから指示を行ったことはない」と否定した。
 長妻氏は「データが誤っていたなら一からやり直してほしい」と同法案の提出断念を求めたが、加藤氏は「準備が整い次第提出したい」と明言。首相も「労働時間が長くなる懸念があることから、健康確保措置を強化することとした」と法案の意義を強調した

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