「公文の指導者は労働者」 団体交渉応じるよう命じる (7/31)

公文の指導者は「労働者」 都労委、団交応じるよう命令

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080102000132.html   

東京新聞 2019年8月1日 朝刊

 

 東京都労働委員会は三十一日、学習塾運営「公文教育研究会」(大阪市)に対し、公文式教室をフランチャイズ契約で運営する指導者が結成した労働組合との団体交渉に応じないのは不当労働行為と認定し、誠実に応じるよう命じた。指導者が労働組合法上の労働者に当たるかどうかが争点で、都労委は「労働者に当たる」と判断した。

 都労委は、教室指導者が労働者に当たるか検討。会社が契約内容を一方的に決めており、指導者が会社からの業務依頼に基本的に応じ、広い意味で会社の指揮監督下に置かれている実態を基に労働者に該当するとした。

 命令書などによると、公文と契約して教室を運営する全国の指導者約六百人が二〇一四年八月に「全国KUMON指導者ユニオン」を結成。一六年十二月に会社に対し、生徒から集めた会費の一定割合を支払うロイヤルティーの減額などを求めて団交を申し入れたが、会社側は「意見は聞くが回答や交渉は行わない」と応じた。

 都労委は「組合が申し入れた交渉は労働条件に関するもので、会社が応じなかったことは正当な理由のない団交拒否に当たる」と指摘した。

 

 ユニオン側は「私たちの従属した状況を詳細に認定し、画期的な判断だ」と評価。公文の広報部は「主張が認められず残念。教室指導者とはフランチャイズ契約を結んでおり、労働者性はないと考えているので、中労委への再審査申し立てを検討する」とコメントした。

□「公文の指導者は労働者」 団体交渉応じるよう命じる

 
朝日新聞デジタル 軽部理人 2019年7月31日12時04分
 
 東京都労働委員会は31日、学習塾の「公文式教室」などで知られる公文教育研究会をめぐり、フランチャイズ(FC)契約を結んでいる教室の指導者を労働者として認め、公文側に団体交渉に応じるよう命じた。指導者を個人事業主とみなして団体交渉を拒否していたことに対し、不当労働行為だと認定した。都労委によると、FC契約を結んでいる塾の指導者が労働者と認められるのは、全国初とみられるという。
 
 都労委に救済を申し立てたのは、公文式教室の指導者約600人で構成する労働組合「全国KUMON指導者ユニオン」。組合は、ロイヤルティー(権利使用料)の減額や、教室の近くに別の教室を開かないことなどの要求のため会社に団体交渉の開催を求めたにもかかわらず、交渉に応じないことは不当だと訴えていた。
 
 都労委は命令書で、指導者について「労働力を供給して生徒の指導を行っている」「会社の業務遂行に不可欠な労働力として事業組織に組み入れられている」「報酬は労務の提供に対する対価」などとして、労組法上の労働者であると判断。「会社が団体交渉に応じなかったことは正当な理由がない」と認定した。
 
 公文教育研究会は、不服を申し立てる方向で検討するという。同会によると、国内には約1万6千の教室があり、ほとんどがFC契約を結んだ指導者によって運営されているという。
 
 FC契約をめぐっては、セブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートの本部が、店主らでつくる労働組合との団交に応じないのは不当労働行為だとして、岡山県や東京都の労働委員会が両社に対して団交に応じるよう命令した。だが中央労働委員会は今年3月、「店主が会社に労務を供給する関係とはいえない」として労働者性を否定し、いずれも命令を取り消していた。(軽部理人)

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