非正規シングル女性の悲鳴 「ロスジェネ手当がほしい」 (11/23)

非正規シングル女性の悲鳴 「ロスジェネ手当がほしい」
https://www.asahi.com/articles/ASM9V4HJWM9VULZU00J.html
朝日新聞デジタル 編集委員・真鍋弘樹 2019年11月23日20時06分

〔写真・図版〕ロスジェネ世代の女性たち

 老後の生活資金は足りるのだろうか……。30〜40代のシングル女性たちが、そんな将来不安を抱えている。男性と比べて派遣や契約社員など不安定雇用率が高く、老後を支える年金や貯蓄、家族の支えも脆弱(ぜいじゃく)だ。超高齢化社会の主役となる女性たちの足元に「老後レス」の不安が忍び寄る。

 《子ども手当のように、ロスジェネ手当を出して欲しい。時代が悪かった、というだけで見捨てられるのはごめんです》

 そんなメールが取材班に届いた。1990年代後半から2000年代半ばの就職氷河期に社会に出たロスト・ジェネレーション。この世代に属する契約社員の女性(43)からだった。結婚はしていないという。

 取材を依頼し、会うことになった。仕事の都合でわずかに時間に遅れたことを、彼女は極めて丁重な言葉遣いでわびた。服装も振る舞いも隙がなく、完璧なビジネスマナーを身につけている女性だった。

 台風15号の関東直撃で東京都内の鉄道がまひした9月9日の朝、女性は4時間半かけて出勤したという。「休みたくてもみんなが行くなら行かないといけません。時給制ですし、休めば仕事も滞り、次の日に全部やらないといけない」

 仕事のメールはすぐに返信する。いつも切羽詰まったように仕事をし、昼食以外は席を外さない。給湯室でゆっくりお茶をするなんてあり得ない。それだけ根を詰めて働いても、現在の年収は280万円ほどだという。

1990年代後半から2000年代半ばの就職氷河期に社会に出たロスト・ジェネレーション。老後の不安を抱えるロスジェネ世代のシングル女性を取材しました。

転職で労働条件は悪化
なぜ、今のような生活を送ることになったのか。女性の話から、この20年間を振り返ってみる。

 大企業に勤める父と、社内結婚で退職して専業主婦となった母、そして子2人の「標準家族」に育った。私立の高校から中堅大学に進学。就職活動をしたのが、就職氷河期まっただ中の1999年だった。100社以上の企業に資料請求のはがきを送ったが、面接まで進んだのは2割ほどで、それもすべて不採用だった。

 そんななか、父の知人の紹介で一部上場企業のグループ会社に採用が決まり、社会人生活が始まった。

 しかし、そこは女性社員には補… 

この記事を書いた人