「働き方改革」進む一方…開業医の「過労死リスク」が超深刻 (1/13)

「働き方改革」進む一方…開業医の「過労死リスク」が超深刻
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2020/01/13(月) 8:00配信幻冬舎ゴールドオンライン

開業医は、長時間の診療だけでなく雑務にも追われます。過酷な労働を続けるうちに体を壊してしまい、メンタルもボロボロ…という実態が散見されているのです。異変を指摘してくれる上司や同僚が存在しないクリニックは、心身のケアが特に必要です。医師向けの資産形成サイト「勤務医ドットコム」を運営する、東京不動産投資株式会社の代表取締役・秋葉侑輝氏が解説します。

「働き方改革」進む一方…開業医の「過労死リスク」が超深刻

医師の過労は医療事故にもつながる

開業医の4人に1人が「過労死リスク」を抱えている

◆過労死ラインを越える開業医の激務

神奈川県保健医協会が2019年1月に発表した「開業医の働き方」の調査結果で、開業医の過酷な労働実態が浮き彫りとなりました。

同協会は2018年10月15日〜31日の期間で、開業医(院長)3,364名と開業歯科医師(院長)2,390名の合計5,754名を対象にして、「働き方」に対するアンケートを実施しました。その調査結果によると、休日の日数が「0日:1.9%」「0.5日:3.6%」「1日:29.3%」「1.5日:14.3%」「2日:27.7%」で、週休1日以下が3割以上を占めていることがわかりました。

また、週の労働時間を見ると、60時間超が25.2%にも至っています。過労死ラインは週60時間ですから、開業医の4人に1人が相応のリスクを抱えている状態といえるのです。

労働時間に対する意識は、「やや過重:36.5%」「かなり過重:15.4%」と、過半数が過重であると感じている状況です。精神的ストレスは「やや強い:34.9%」「かなり強い:15.8%」と、こちらも過半数が強いストレスを感じていることが判明しています。

◆いざというとき休めるように「保険医休業保障共済保険」に加入

勤務医と異なり、開業医には勤務体制を整えてくれる部署や上司が存在しません。自分自身で制度について考え、適切な働き方を構築することが求められます。

たとえば、「保険医休業保障共済保険」に加入するという方法があります。全国保険医団体連合会に加盟する保険医協会、保険医会の会員の傷害または疾病による休業時の生活安定に寄与することを目的として、(非営利型)一般社団法人 全国保険医休業保障共済会が実施する、会員のための共済制度です。

保険加入の条件は次の5項目が定められています。

(1) 加入年齢が60歳未満であること

(2) 保険医協会・保険医会の会員であること(京都府保険医協会の会員は除きます)

(3) 保険医であること

(4) 1つの主たる医療機関等で週4日以上かつ週16時間以上業務に従事していること

(5) 告知日現在、健康であること

※ 詳しくは保険医休業保障共済保険ホームページ(http://hoken-ikyuho.jp/system.html)をご覧ください

保険に加入することで次のようなメリットがあります。

●傷病休業給付金の給付期間は通算500日。それを超えて連続して休業した場合は長期療養給付金が最長230日の範囲で給付されます。

●傷病による休業に対する給付のほか、死亡・高度障害時や脱退時の給付金等全部で6種類の給付金があります。

●一定の条件のもとで、第三者の医師の治療を受けていれば、自宅療養でも給付対象となります。また代診をおいても給付されます。

※ 詳しくは保険医休業保障共済保険ホームページ(http://hoken-ikyuho.jp/system.html)をご覧ください

医師は「働き方改革」の波に乗れるのか?
◆家族のためにも頑張り過ぎない勤務体制を!

医師の過酷な勤務状態を受けて、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は2019年3月に対策にまつわる報告書を公表しました。

内容は、すべての医療機関において労務管理の徹底・労働時間の短縮などを進め、2024年4月以降「年間の時間外労働960時間以下」を目指すこと、この上限に収まらない労働が必要な救急医療機関等では、「年間1860時間以下」の特例を目指すこと、といったものでした。さらに、研修医や高度技能の獲得を目指す医師を対象に「時間外労働を年間1860時間以下」まで認める特例も用意されることになりました。

社会全体で「働き方改革」が叫ばれる現在、トップクラスに多忙を極める医師も、働き方を見直す時代に来ているのです。ぜひこの機会に、労働時間や休日の日数を振り返り、愛する家族のためにも、頑張り過ぎない勤務体制を整えるようにしたいですね。

◆働けなくなったときのための資産運用

最後に、多忙で倒れ、万が一働けなくなったときのことも考えておきましょう。

紹介した保険に加入するなどの対策に加えて、早い段階から投資信託・株式・不動産投資といった資産運用をし、不労所得を生み出す流れを整えておく方法があります。

「倒れてから」ではなく、「倒れる前」に働き方を見直し、倒れたときのことも見越して資産運用を進めていきましょう。

◆まとめ◆

医師ゆえに「自分の体のことは自分で分かっている」と考えがちなものです。しかし、人間は完全無欠ではありません。働き過ぎれば、倒れることだって十分にありえます。共済保険などを活用し、異変を感じたらすみやかに休診するようにしましょう。自分以外の専門医の診療を受けることも大切です。

秋葉 侑輝

東京不動産投資株式会社 代表取締役

秋葉 侑輝

 

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