第267回 脱線休講 べらぼうに暑くて炎天にてり殺されそうです

毎日暑いですね。昔はどうだったのだろうと、江戸後期の俳人、小林一茶(1763-1827)の句をデータベースで調べてみました。彼は生涯に2万句以上を作ったと言われるほど多作の人ですから、暑さを詠んだ句だけでも150近くあります。そのなかから私の主観で20ほどを選んでみました。

べらぼうに暑くて仕事どころではありません。そのうえ、今年の夏は例年になくたくさんの注文原稿を抱えてアップアップです。合宿や帰省もありますので、8月はこの連続エッセイはお休みにします。それではしばらくごきげんようさようなら。

  発句(俳句)       出典 年

炎天にてり殺されん[天]窓哉  文化句帖 文化2

暑き日や籠はめられし馬の口  草津道の記 文化5

あら暑しなごや本町あらあつき  七番日記 文化9

あら暑し暑し何して暮すべき  七番日記 文化13

暑き日やひやと算盤枕哉  七番日記 文政1

あらあつしあつしと寝るを仕事哉  だん袋 文政1

べら坊に日の長い哉暑い哉    だん袋 文政1

あゝ暑し何に口明くばか烏  八番日記 文政2

米国(こめぐに)の上々吉の暑さかな  八番日記 文政2

暑(い)ぞよけふも一日遊び雲  八番日記 文政4

暑(き)日や見るもいんきな裏長屋 八番日記 文政4

手に足におきどころなき暑哉  文政句帖 文政5

暑き日や蚕もぞろり食休  希杖本

満月に暑さのさめぬ畳哉  文政句帖 文政7

野ら仕事考へて見るも暑哉  文政八草稿 文政8

何もせぬ身の暑い哉暑哉  文政八草稿 文政8

穀値段どかどか下るあつさ哉  文政九十句写 文政9

けふもけふもあすもあついか藪の家  真蹟

七月の大ベラ坊に暑(あつさ)かな  七番日記 文化2

老の身は暑(あつさ)のへるも苦労哉  だん袋 文政3

          「一茶の俳句データベース」より

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