派遣法抜本改正を求める緊急大集会のアピール

1月29日、民法協を含む法律家11団体による派遣法抜本改正を求める緊急大集会が行われ、
約400名が参加があり、以下のアピールが採択されました。

労働者の使い捨てを許さず、真に実効性のある労働者派遣法の
早期抜本改正を求める集会アピール

1 本日、大阪近郊の法律家、労働組合、貧困問題・社会保障問題に取り組む諸団体等が、立場・分野の違いを超え、労働者派遣法の早期抜本改正を求めるとの一致点で結集した。政府及びすべての国会議員は、この集会に出された労働者・市民の声を真摯に受け止め、二度と「派遣切り」を許さず、二度と「派遣村」を作らせない、真に労働者の保護に資する労働者派遣法の改正を早急に実現・実施すべきである。

2 労働者派遣法の早期抜本改正は、失業者・不安定雇用者の生活支援、就職支援と併せて待ったなしの課題であり、昨年の衆議院総選挙においても現政権与党の各マニュフェストにも謳われ、その直前に現政権与党3党が提出した法案(以下「3党案」という)も存在するところである。政府は、労働者・市民に約束した法案を前提に、さらに労働者保護に資する法改正を実現する責務を負っている。
 具体的には、登録型派遣の禁止、製造業務派遣の禁止、派遣先労働者との均等待遇、派遣先の責任強化(とりわけ「みなし雇用制度」の創設及び派遣労働者の派遣先に対する労働基本権保障の明記)が最低限必要である。
 また、労働者保護の実効性を確保するためには、登録型派遣の禁止に関して、期間の定めのない雇用のみを「常用」とすること、みなし雇用制度に関して、派遣先の認識等にかかわらず、客観的に所定の違法が存在する場合には例外なく同制度の適用を認めること、との規制を行うべきである。
 これらの規制が行われない労働者派遣法の改正は、「労働者の使い捨て」を許さない真に実効性のある改正とは評価し得ない。

3 この点、昨年12月28日になされた労働政策審議会の答申(以下「答申」という)は、3党案より著しく後退したものとなっている。
 具体的には、?常用型の製造業務派遣を一般的に認めている結果、もはや「原則禁止」とさえ呼べないものになっていること、?派遣労働者の労働条件について「派遣先の労働者との均衡を考慮する」とされているのみであり、その内容はパート労働法の規制よりも後退したものであること、?派遣先の責任強化について3党案の内容をほとんど削除していること、などである。
 このような答申は法案作成の前提とされるべきではない。

4 派遣労働者は、将来の展望も持てず、今日・明日の生活も困窮する状態に追いやられている。にもかかわらず、答申では、登録型派遣の原則禁止について最大5年の猶予を認めるなど改正を先送りしようとしている。1日の規制の遅れは、それだけ多くの「派遣切り」「派遣村」を生むのであり、抜本改正された労働者派遣法の規制は、当該派遣労働者の雇用の安定を図りながら、早期に実施されなければならない。

5 本集会参加者は、政府及びすべての国会議員に対し、労働者の使い捨てを許さず、真に実効性のある労働者派遣法の抜本改正を行い、これを早期に実施すべきことを求めるとともに、今後とも協力・共同して、その実現に向かって奮闘する決意を表明する。
                                                      以上
                     2010年1月29日

                     法律家11団体による派遣法抜本改正を求める緊急大集会

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