同性婚: 日本でも? 東京・渋谷区「証明書」条例案、追随の動き 家探し・入院…当事者「安心できる」

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毎日新聞 2015年02月27日 東京朝刊

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 東京都渋谷区が全国で初めて同性のカップルを「結婚に相当する関係」(パートナーシップ)と認め、証明書を発行する条例案を3月議会に提出すると表明したことで、「同性婚」への関心や期待が高まっている。同様のパートナーシップ証明に前向きな自治体はまだ一部だが、欧米でも自治体の動きが国へ波及し、制度実現につながった経緯があり、関係者は事態の推移を注視している。【藤沢美由紀】

 「同性愛者は行政には存在しないものと思われがちで、公的に認められることで安心して暮らせる」

 そう話すのは同区在住の同性カップル、東(ひがし)小雪さん(30)と増原裕子さん(37)だ。東さんが体調を崩した際、病院で付き添った増原さんが薬を受け取ろうとしたら、「名字が違う」と断られた。不動産屋で同居の部屋を借りようとした時は「大家さんに理解があるかわからないから」と、書類に書いた「妻」を「友人」と書き直すよう求められたという。

 渋谷区の条例案ではパートナーシップについて、「男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係」と定義。証明には、当事者双方が相手を「任意後見受任者」の一人とする契約の公正証書を作成し、登記することなどを条件とした。

 保坂展人(のぶと)区長が「具体的に答えを出すべく準備している」と15日に発言した東京都世田谷区。昨年9月、議会で同性パートナーシップ制度の導入を提案した上川あや区議は「同性婚の実現は、どんな愛の形も平等に祝福できる社会へとつながる」。横浜市も当事者から話を聞き、同性カップルを含めた性的少数者の支援策を検討すると表明した。

 インターネット上では、渋谷区を応援する署名キャンペーンが始まった。呼び掛け人は同区在住でゲイであることを公表している松中権(ごん)さん(38)で「大きな一歩を区が踏み出してくれたことがうれしい」。26日現在7000以上の署名が集まっており、区や区議らに届ける予定という。

 ◇欧米、自治体から国に波及

 国際NGO「ILGA(イルガ)」などによると、何らかの制度で同性カップルを認めているのは、欧州や北南米など32カ国と47地域(2014年5月現在)。日本や中国、韓国には制度は存在せず、中東などのイスラム圏やアフリカには同性愛を違法とみなす国もある。

 海外の同性パートナーシップ事情に詳しい京都産業大法科大学院の渡辺泰彦教授(民法)によると、欧州では北欧諸国を皮切りに1990年代ごろから制度が導入され、そのうちオランダやベルギー、北欧などで00年代に同性婚が実現した。

 米国では自治体のパートナーシップ制度が州に広がり、一部の州では同性婚が認められるまでに。13年には連邦最高裁が同性婚を認めない国の結婚保護法を違憲と判断した。ドイツではハンブルク市が99年、同性パートナーシップの登録を受け付ける制度を始め、01年には国として婚姻に近い制度を導入した。

 渡辺教授は「欧州ではキリスト教の影響で以前は同性愛が刑罰の対象とされたため、存在の容認を求める運動が起き、訴訟や議論を経て法制度ができていった」と説明する。一方で日本では、存在が見えづらい状況が続いているといい、「市民が現実の問題としていかにとらえられるかが課題」と指摘する。

 14年に市場調査会社「イプソス」(本社・フランス)が15カ国で行った同性婚を巡る意識調査によると、日本では最多が「分からない」で40%。続いて「認めるべきだ」26%▽「婚姻でなくても同性カップルを法的に認めるべきだ」24%−−などだった。「性的少数者の友人や同僚がいるか」との質問に「いる」と答えた割合は、15カ国の平均が46%だったのに対し、日本では8%だった。【藤沢美由紀】

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