ニッセン送料値上げ 社長「物流が限界、社会的な問題」

 
 通販大手ニッセンホールディングス(HD)が、ヤマト運輸の値上げを受けて送料への価格転嫁に踏み切る。業績が低迷するなか、今後の影響や再建策について脇田珠樹社長に聞いた。主なやりとりは次の通り。


ニッセン、送料一部値上げへ ヤマトの要求、応じる動き
 ――ヤマト運輸が値上げに動いている。

「4月の契約更新時に受け入れた。物流が限界にきており社会的な問題だ。自社で吸収できるよう極力努力するが、一部は転嫁をお願いせざるを得ない」

――業績への影響は。
 「一定はある。金額は控えたい」
 ――セブン―イレブン受け取りをどう生かすのか。
 「物流で本質的な課題は再配達の問題だ。全国のセブン―イレブンに宅配ボックスがあるのと同じ状態なので、ここを最大限活用したい」
 ――利用を促すには?
 「スマートフォンなどから注文すれば、金額にかかわらず送料無料となるキャンペーンを5月23日まで行っている。定期的にキャンペーンを行い、利便性を感じてもらうことで、セブン―イレブン受け取りの割合を高めていきたい」
 ――赤字が続くなど業績が低迷している。
 「時間をかけてカタログをつくり、自前で幅広く商品をそろえ、在庫リスクを抱えながら商品を売ってきた。インターネット対応を進めてきたもののカタログ通販の呪縛があり、今の消費行動の変化に対応できないビジネスモデルだった」
 ――どう立て直すか。
 「ネットをメインの売り場とし、カタログを販売促進媒体に位置づける。カタログでは、従来のように総花的に商品を紹介せず、定番や売れ筋商品を中心にする。ページ数も1200ページから100〜150ページに減らし、ネットへとお客様を誘導していく」
 ――黒字転換のめどは。

「カタログ関連の費用を大幅に減らす一方で、ネット対応を強化する。来年度に業績を黒字転換させる計画だ」(近藤郷平)

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