過労死防止法、成立へ 衆院厚労委で可決 対策「国の責務」明記

共同通信 2014年5月23日

 衆院の厚生労働委員会は23日午後、超党派の議員連盟が議員立法で提出した「過労死等防止対策推進法案」を全会一致で可決した。来週にも衆院本会議を通過する見通しで、過労死防止を「国の責務」と明記した初の法律は今国会で成立の公算が大きくなった。

 採決に先立ち、法律制定に向け尽力した「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表が意見陳述し「過労死は今も増え続けている。一人でも多くの命を救うために今国会で法律を成立させてほしい」と訴えた。

 法案は長時間労働などに対する規制や罰則を定めるのではなく、社会的な損失である過労死や過労自殺をなくすため、国の責任で防止対策を実施するとの理念を明確にするのが目的だ。

 法案では国が実施する対策として(1)過労死の実態の調査研究(2)国民の関心と理解を深めるための啓発(3)産業医への研修など相談体制の整備(4)民間団体の活動支援−を列挙。地方自治体や事業主にも協力を求め、「勤労感謝の日」を含む毎年11月を啓発月間とする。

 法案では過労死を「業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や精神障害を原因とする死亡や自殺」と定義。ただ過労死の実態には不明な点も多いため、調査研究は定義外のケースも含めて幅広く取り扱う。

 対策に当たっては国に大綱の作成を義務付け、過労死遺族や労使の代表をメンバーとして厚生労働省内に設ける「防止対策推進協議会」からの意見を参考にする。

 また、調査研究結果や対策の実施状況を毎年国会へ提出するよう義務付ける。施行後3年をめどに法律の内容を見直す。

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