労働時間巡る規制緩和は「危険」 電通・高橋さん母訴え

 朝日DIGITAL 2017年2月10日
 
  高橋幸美さんのビデオメッセージが集会で流された=10日、東京・永田町
 
 過労自殺した電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)の母、幸美さん(54)が10日、労働時間を巡る規制緩和を盛り込んだ労働基準法改正案に反対する集会にビデオメッセージを寄せ、「長時間労働を規制する法律が絶対必要」と訴えた。
 
 集会は、過労死の遺族らがつくる団体と、過労死や労働問題に取り組む弁護士らが主催。労働団体の関係者や法曹関係者など約350人が集まり、東京・永田町で開かれた。専門職で年収が高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設や、裁量労働制の対象拡大などを盛り込んだ政府提出の労基法改正案に反対し、長時間労働の規制強化を求める声が相次いだ。民進党の蓮舫代表ら野党の国会議員約15人も参加した。


幸美さんはビデオメッセージで、まつりさんの睡眠時間が長時間労働で削られ、1週間で10時間ほどしかない時もあったと報告。規制強化の必要性を強調し、「(残業時間の上限を労使で定める)36協定の上限は100時間とか80時間とかではなく、過労死することがないように、もっと少なくしてください」と政府に求めた。労基法改正案にも触れ、「労働時間の規制をなくす法律は大変危険。高度プロフェッショナルや裁量労働制など、時間規制の例外を拡大しないで」と訴えた。


集会では、過労自殺で息子を亡くした男性や、長時間労働でうつ病になって労災認定された大手メーカーの元社員も発言し、長時間労働の規制強化を求めた。(千葉卓朗)

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