岡山県内公立中学教員の残業月94時間 17年、悪化し過労死ライン超え

教員の1カ月当たりの平均残業時間(図表省略) 

岡山県教委が、所管する公立小中高校教員を対象に2017年6月に実施した抽出調査結果で、1カ月平均の時間外業務(残業)時間が、1人当たり中学校94時間(前年度比7時間増)高校77時間(同4時間増)小学校64時間(前年度と同じ)だったことが分かった。教員の働き方改革が取り沙汰される中、中高は前年より悪化し、中学は「過労死ライン」とされる月80時間を超えていた。
 県教委調査に含まれない岡山市立学校については、同時期に市教委が行った小中学校の抽出調査で中学校88時間24分(前年比12分減)小学校43時間45分(同2時間33分減)との結果が出ており、改善の兆しが表れている。県教委は17年6月、3年後までの残業時間25%削減を盛り込んだ「働き方改革プラン」を策定し、部活動休養日や最終退校時間の設定といった取り組みに着手したが、実効を上げるにはさらなる意識改革、業務の見直しが求められそうだ。
 県教委の調査結果によると、主な残業のうち勤務終了後の平均在校時間(平日1日当たり)は小学校2時間9分(前年度比9分増)中学校2時間25分(同14分増)高校1時間52分(同7分増)と、いずれも前年度より延びた。平日、自宅で仕事をした時間は職種別で集計しており「教諭」は小中高の順に21、17、16分だった。
 中学校教員の長時間労働の要因の一つとされる部活動の指導時間については、平日は1日当たり平均で1時間3分だった。調査には部活動を受け持っていない教員(指導時間ゼロ)を含んでいるため、実際の指導時間はさらに膨らむとみられる。土日曜の両日とも「指導した」との回答は全体の3割を占め、うち1日平均の指導時間は7・9時間だった。
 県教委は残業増加の背景を詳しく分析する一方、働き方改革に関するメッセージを広く発信しており、保護者らにも理解や協力を求める。「調査は改革プランを示したばかりのタイミングとなり、改善は今後進んでいくとみている。残業削減に向けた好事例を掘り起こして全県的に発信し、各校の取り組みを促していきたい」(教職員課)としている。
 調査は所管する公立校を対象に16年度から実施し、今回は17年6月中旬の1週間、小中高校・特別支援学校の計54校を抽出して約1500人が答えた。岡山市教委は26小中学校約580人を調査した。

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