石綿被害、再び「診断日」起算 大阪地裁判決 全国6例目 (10/4)

石綿被害、再び「診断日」起算 大阪地裁判決 全国6例目
https://mainichi.jp/articles/20191004/k00/00m/040/170000c
毎日新聞2019年10月4日 17時50分(最終更新 10月4日 17時50分)

 アスベスト(石綿)が原因で肺がんを発症した男性2人が、国に計約2500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(酒井良介裁判長)は4日、賠償金の利息にあたる「遅延損害金」の起算日を「肺がんの診断日」と判断し、請求通りの賠償を命じた。起算日を「労災認定された日」とする国の主張を退けるのは、今年3月の福岡地裁小倉支部での判決以降、全国で6例目になる。

 訴えていたのは、徳島県と大阪府に住む70代の男性。石綿の健康被害が認められると、国は訴訟で和解に応じるが、労災認定日を起算日としているため、遅延損害金が少なくなる問題が起きている。

 判決によると、2人は1950〜60年代に石綿製品を扱う別々の工場に勤務。大阪府の男性は2015年2月、徳島県の男性は08年11月に、それぞれ肺がんと診断されたが、労災認定は15年6月と09年7月だった。

 判決は、医療機関で診断が確定した時点から損害が起きていると判断した。男性らの代理人によると、起算日が早まったことで、遅延損害金は計約58万円増える。

 厚生労働省は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントした。

 同種の訴訟は福岡地裁小倉支部が起算日を確定診断日とする初の判決を出し、福岡高裁も追認。神戸、広島両地裁などでも同様の判決が出ている。【村松洋】 

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