「大学教員に新たな裁量労働制必要」国立大病院長会議・山本氏 消費増税では10月実績で試算方針 (10/5)

「大学教員に新たな裁量労働制必要」国立大病院長会議・山本氏 消費増税では10月実績で試算方針
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医療維新 2019年10月5日 水谷悠(m3.com編集部)

 国立大学病院長会議常置委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院病院長)は10月4日の記者会見で、「これまでの検討会では大学病院の特殊性についてほとんど議論が行われていない。研究者には教員には専門業務型裁量労働制が最もフィットするのは間違いないが、現状ではみなし労働時間と実際の労働時間の乖離という問題もある」と述べ、大学教員向けの新たな裁量労働制が必要ではないかとの見解を示した。

山本氏は、一般病院と比較した大学病院の特殊性として、教育と研究を担うこと、勤務地が病院だけでなく医学部にも及ぶこと、多くの医師が兼業していること、給与水準が低いことを説明。また、保健分野に従事する大学教員の研究時間の割合が減少してきている(中教審大学分科会資料を参照)として、「研究時間はどんどん短くなっており、臨床系論文がさらに減ることを危惧している。危機的な状況に陥る可能性がある」と訴えた。ただし、診療に関しては「医師の働き方改革のやり方にしっかり従うつもりだ。医師の部分についてはその通りやる」とも述べた。

 給与に関しても、大学病院と国立病院機構を比較した資料を提示し、「我々は教員としての給与しか受けておらず、医師としての給与を受けていない。大学病院で働く医師としての給与を確立する必要がある」と主張。財源は文部科学省からのものと、診療報酬の見直しが必要だと述べた。

消費増税、10月実績試算へ

国立大学病院と他機関との給与比較
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2019年10月4日国立大学病院長会議記者会見資料
消費税問題については、8%から10%に税率が引き上げられた10月の実績を用いて試算し、12月をめどに速報値を出して検証する方針。非課税下での診療報酬による補填は「消費実績、消費税支払い実績に基づいていないので、個々の病院のバラツキは解消できていない。特定機能病院の中でもバラツキがあり、補填しきれない」と改めて説明。2018年度の実績に基づいた国立大学病院長会議の試算では42病院計14億円の補填不足が生じ、病院ごとに見ると0.7%のプラスから2.1億円のマイナスまで2.9億円のバラツキがある。大型の設備投資を行った病院で補填不足が大きく、また減価償却費で計算しているために実際に投資した時期と補填される時期が異なり、これも投資の抑制につながるという。 

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