2020年4月導入「同一労働同一賃金」企業の真の狙いとは (12/4)

2020年4月導入「同一労働同一賃金」企業の真の狙いとは
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191204-00000013-nkgendai-life
2019/12/4(水) 9:26配信 日刊ゲンダイDIGITAL

2020年4月導入「同一労働同一賃金」企業の真の狙いとは
果たしてデモはなくなるだろうか(C)日刊ゲンダイ

 来年4月1日(中小企業は2021年4月1日)からは、通称「パートタイム労働法」も改正される。「パートタイム・有期雇用労働法」として、短時間労働者だけでなく、有期雇用の労働者も対象になる。改正の狙いは待遇格差の改善で、「同一労働同一賃金」の導入だが、その余波は大きい。

「『職責』と『制約条件』を切り分けて人事評価を運用する企業が増えるでしょう」と言うのは、「働き方改革総研」代表の新田龍氏だ。新田氏に聞いた。

「法律上、正社員もパートも同じ業務なら同じ賃金に統一しなければいけませんが、現状の金額のままスライド移行はできません。そこで、『職責』部分の手当の支給基準を明確化して固定。たとえば、『全国勤務可かエリア固定』『フルタイムか短時間』『数値責任アリかナシ』『役職登用アリかナシ』といった制約条件の有無で、手当の金額を柔軟に上下させるのです」

 改正後、会社は社員に待遇差の理由を求められると、説明が義務付けられる。この制約条件があれば、説明もつく。

 派遣社員の教育は、派遣先が教育。同じ仕事をしていれば、食堂や健康診断、レクリエーションなど福利厚生の利用も共通化する。どちらも今後、義務化される。

「そうすると、会社にとっては、教育や福利厚生のコストが重くなりますから、住宅手当や食事手当など職務に直接関係のない手当を廃止する可能性が高い。その分を仕事内容や職責に応じて、金額が決まる職責給の原資に充て、納得感を醸成するのです」

 現状に満足する人の給料は上がりそうにない。競争社会に拍車が掛かるのは必至だ。
 

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