「生活費は月4万円」パワハラ、労災隠し、相次ぐ失踪…SHELLYが外国人技能実習生と対話 (12/21)

「生活費は月4万円」パワハラ、労災隠し、相次ぐ失踪…SHELLYが外国人技能実習生と対話
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2019/12/21(土) 18:04配信 AbemaTIMES

「生活費は月4万円」パワハラ、労災隠し、相次ぐ失踪…SHELLYが外国人技能実習生と対話
(画像出典:『Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜』より・MCのSHELLY)

 ベトナム出身のフエさんは、外国人技能実習生として日本に来て2年4カ月ほどだ。「お金を稼ぎながら、日本語と日本人の働き方を学びたい」と思い来日した。今は食品加工工場で弁当を詰める仕事をしている。

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 フエさんによると「勤務時間は8時から17時まで。たまに残業が1〜2時間ほど発生します。土日休みはあまりないですが、1カ月に9日間休みがあります。残業代は出ますが、寮費を引くと給料の手取りは11万円程度」だという。寮にはフエさんを含む、4人で同居している。

 母国にいる家族へ月10万円ほど送金するために、寮の4人で協力し「月4万円(1人あたり1万円)で生活している」と話すフエさん。合計4万円で4人分の食費・生活費・光熱費をカバーするため、あらゆる買い物は「割引されているときにやる」と明かした。

 フエさんの話を聞いた働くアラサー女性のための情報サイト「ウートピ」編集長の鈴木円香さんは「お弁当を詰める仕事はベトナムでもできるのでは?」と質問。しかし、フエさんは「日本での生活や仕事には満足している」と回答する。

 フエさんの将来の夢は、日本とベトナムをまたにかけて活躍する“通訳者”になること。技能実習生としての給料は高くないが、寮があり、仕事の合間に日本の文化や生活様式を学ぶことができるため、今は日本で仕事を頑張っている。

「生活費は月4万円」パワハラ、労災隠し、相次ぐ失踪…SHELLYが外国人技能実習生と対話
▲オチャンテ・村井・ロサ・メルセデスさん

■ 失踪者の話は“あるある” 逃げ出す技能実習生たち
外国人技能実習生の中には、実習先に恵まれなかった人もいる。失踪者の話は外国人技能実習生の中では“あるある”で、それらのほとんどが低賃金やハラスメントに起因すると見られている。

 また、失踪者はあてもなく逃げ出すのではなく、技能実習生同士でインターネット上にて交流し、より待遇の良い勤務先などの情報交換をした上で失踪することが多い。これが不法滞在・不法就労にもつながっている。

 弁護士の加藤桂子さんは、外国人技能研修生制度・技能実習生制度問題に取り組むために立ち上げられた外国人技能実習生問題弁護士連絡会(実習生弁連)の一人として活動している。加藤さんによると「不法滞在の外国人を雇う事業者も確かに存在する」といい、失踪後に工場で不法就労していた外国人から、労災について相談を受けたこともあるという。

 技能実習生は、労災に遭えば日本人と同じく労災補償を受けることができるが、中には“労災隠し”を行う事業者もいる。悪質な事業者は、技能実習生が労災に遭ったとしても届け出をせず、休暇扱いで給料を支払わずに放置したり、実習生が怪我をしていても無理に働かせてしまう。実習生が従わなければ、母国への送還をちらつかせ、パワハラを行う。

 前述のフエさんは、病気で寝込んだ際には薬を買って寮まで届けてくれる、親のような日本人に出会うことができたが、中国出身で技能実習生として働いていた張さん(仮名)はたとえ倒れても「病院に行くことが許されなかった」という。激務で倒れてしまった張さんは、中国にいた家族に来日してもらい、岐阜一般労働組合が運営する「外国人労働者救済支援センター」にたどり着き、ようやく病院に行くことができた。

 国際理解教育に詳しい桃山学院教育大学の講師、オチャンテ・村井・ロサ・メルセデスさんはペルー出身の日系4世だ。村井さんによると「技能実習生らは来日する前に、一般的にそれぞれの母国で基本的な日本語の会話や文化などを学ぶ研修を受けることができるが、来日後、継続的に日本語や文化を学ぶためのプログラムは用意されていない」という。

 よって「日本のルールやマナーを知る機会に恵まれず、例えばゴミの分別方法など、地域住民と軋轢も生じることもある」と村井さんは指摘。前もって教えられていれば、トラブルも起きないはずで、そういったバックアップもなしに「労働力としてのみ来日してほしい」という日本のスタンスに対して疑問を呈した。

 「技能実習生に限らず、今後の日本は外国人労働者が増えていくだろう」と述べる村井さん。技能実習生が抱える問題に、村井さんは「多くの日本人が関心を持ってほしい」と考えており「“こんにちは”の一言だけでも技能実習生を孤立から救う契機になる」と語った。

 日本人の母とイタリア系アメリカ人の父との間に生まれたタレントのSHELLYも「挨拶をきっかけにコミュニケーションが始まり、お互いに住みやすい地域を実現できる」とコメント。育ってきた文化の違いから言いづらいこともあるかもしれないが、技能実習生を地域から孤立させないことで「日本はいい国だった、日本人にもいい人がいるって思ってもらえたらすごくいいなって思う」と述べた。

(AbemaNews『Wの悲喜劇』より)
 

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