第300回 アクセスランキングから見えてくる反響の大きなテーマと日本社会の歪んだ断面

2008年5月12日の第1回「働き方はライフスタイル」から数えて第300回を迎えました。この間、7年6ヵ月ですから、年40回、9日に1回の割りで更新したことになります。『週刊エコノミスト』誌に寄稿している書評や新聞の随想も適宜転載していますが、9割は「脱線休講」と断った回も含めても書き下ろしです。

この機会に299回分のアクセス件数を調べてみました。長い間おいておけば、アクセスは自ずと増えていきます。各回の最下段に表示される実際のアクセス件数をベースに一定の計算式で期間調整をしてランキングづけをしてみました。その結果が別表です。トップ20に入っている回は、調整による順位の入り替わりが一部ありますが、ほぼ実際のアクセス件数に対応しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書いてきたのは暇ネタの「脱線休講」を除けば、大半が雇用・労働問題で、一部が大阪府市政と橋下・維新問題です。ランキングは、本エッセイの読者がどんなテーマに関心を持っているかを示していて参考になります。というより、上位にランクされるほど多くのアクセスがあった回は、働き方ASU-NETのサポーターをはじめとする常連愛読者の範囲を超えて、広く関心を呼んだと考えられます。もちろん、カウンターの暴走やエラーはないという前提での話です。

トップ20の第1位は、2012年2月23日にポストした第165回「国家公務員はこの10年、年間賃金が平均100万円も下がったうえにさらに2年で100万円年収が減ります」という299回中もっとも長いタイトルのエッセイです。これには1万7662件ものアクセスがありました。公務員賃金の切り下げに反対する者ものだけでなく、賛成する者も含まれていると思われますが、公務員関係の組合活動家やブロガーによってネット上で拡散された結果ではないかと推定されます。

第2位は1年半あまり前の2014年3月26日にポストした第253回「ネット上で派遣の社員食堂利用禁止をめぐって大討論」です。この回はいつもなら1日に200〜300件のところが、一晩に2000件を超えるアクセスがあって自分でも驚いたことを記憶しています。いまは実アクセス数で8000件を超えています。このときのいきさつについては、近著の『雇用身分社会』(岩波新書)に書きました。

これ以外にも派遣労働について書いた回は反響が大きく、第80回「派遣の“専門26業務”」の過半は単純労働です」は第4位、第85回「奇妙きてれつな“専門26業務派遣適正化プラン”その4」は第18位につけています。この表には出ていませんが、第22位には第43回「派遣=“雇用関係と使用関係の分離”説を疑う」が顔を出しています。

あとアクセスが多いテーマは、3.11に関連した原発問題、ブラック企業と就活自殺に関連した学生の雇用・労働環境です。就活自殺の問題は2011年7月24日の第146回「就職新氷河期で増える学生の就職失敗自殺」が火付け役となって議論が広がりました。

もう一つの関心を呼んだテーマは、第141回「大阪府知事の教育論は百パーセント間違っています」(第3位)、第209回「天王寺動物園の元旦開園を迫る橋下大阪市長のつぶやきが批判を浴びています」(第5位)の橋下批判です。第176回「命令教育大好きの橋下大阪市長の昨日の記者会見に思う」もトップ20に入っています。

ここに示したテーマは、時々のトピックスと話題から私が選んだものですが、初めから受けを狙ったものではありません。読者の関心をあまり呼びそうにない地味なテーマでも書かなければならいない場合もあります。これからも同じ姿勢でボツボツ書いていきます。今後ともよろしくご愛読ください。
 

この記事を書いた人