校長「引っ張る」系、教員は長時間労働に 早大教授調査

朝日DIGITAL 2017年10月20日
http://digital.asahi.com/articles/ASKBM5R5XKBJUTIL051.html

校長が自ら教職員を引っ張るタイプだと、教員の勤務時間が長くなる――。こんな傾向が、早稲田大学の菊地栄治教授(教育社会学)の調査で明らかになった。文部科学省は校長のマネジメント能力の大切さを強調してきたが、「トップダウンの学校運営が、教員を疲れさせる一因になっているのでは」と菊地教授は見る。
 調査は学校運営の実態を調べるため3月に実施。全国の公立中学校の校長275人と、154校の教員1768人から回答を得た。
 校長が「自ら教職員を引っ張っていくタイプかどうか」という質問について、校長自身に「とてもあてはまる」「ややあてはまる」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」の4択で聞いたところ、「とても」「やや」の合計は60%で、これらの学校では教員の平日の平均勤務時間が11時間30分だった。一方、「あまり」「まったく」と答えた校長の学校は11時間11分で、19分短かった。「あてはまる」学校の方が、1週間に換算すると勤務時間が1時間30分余、1カ月で6時間以上長くなる計算になる。
 また、「学校の目標を全教職員の話し合いで決めているか」という質問でも、校長が「あてはまる」と答えた学校の教員の平均勤務時間は11時間8分。「あてはまらない」と答えた学校は11時間27分で、19分長かった。
 菊地教授は2002年にも中学校の校長・教員を調査している。その時と比べると、教員の労働時間は長くなっており、文科省が実施している勤務実態調査とも傾向が一致する。特に「学校で12時間以上勤務している」教員は49%で、前回の26%の倍近かった。睡眠時間は5時間57分で、21分短くなった。
 「校長のリーダーシップ発揮は、教育改革で進められてきた方向だ。文科省は教員の働き方改革に取り組んでいるが、教育改革の方向も検討する必要がある」と菊地教授は話す。調査結果は、21日の日本教育社会学会で発表する。(編集委員・氏岡真弓)

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