甘利大臣 限定正社員普及へ理解求める

NHKニュース 2013年11月5日

政府、経済界、労働界の代表による会議が開かれ、甘利経済再生担当大臣は、非正規労働者の正社員化を進めるためには、勤務地や職種などを限定した正社員を普及させ、多様な働き方を認めることが効果的だとして、協力を求めました。

今回で3回目となる会議には、▽政府側から麻生副総理兼財務大臣や甘利経済再生担当大臣ら、▽経済界からは全日空の篠辺修社長や吉野家ホールディングスの安部修仁会長ら、▽労働界からは連合の神津里季生事務局長らが出席し、非正規労働者の処遇改善に向けた取り組みなどについて意見を交わしました。

この中で全日空の篠辺社長は、人材育成や処遇改善を図るため、来年春からおよそ20年ぶりに客室乗務員の採用を契約社員から正社員に戻す方針を説明しました。

また、吉野家ホールディングスの安部会長は、労働時間や勤務地を限定した社員を積極的に登用していることや、非正規労働者を正社員と同様に評価する仕組みを導入していることなどを説明しました。

このあと甘利経済再生担当大臣は、「非正規労働者の正社員化を促すには、職場のニーズに合った『多様な正社員』の拡大が極めて有意義だ。また、非正規労働者の能力に応じて処遇を改善し、生産性を向上させることも重要だ」と述べ、勤務地や職種などを限定した正社員を普及させ、多様な働き方を認めることに協力を求めました。

会議のあと、連合の神津事務局長は記者団に対し、「『非正規労働者や中小企業で働く人の処遇改善こそが大切だ』ということを申し上げた。民間企業の出席者からは非正規から正規へのキャリアアップの事例が紹介されたが、もっと多くの企業でこうした取り組みを進めてもらいたい。会議では非正規労働者などの処遇の底上げの重要性について認識が共有できたと思う」と述べました。

また、「セブン&アイ・ホールディングス」の村田紀敏社長は記者団に対し、「小売業にとって接客は非常に重要だが、接客に必要なすべての要員を正社員にするのは、コスト面でも対応できない。このためわれわれは、優秀なパート社員については能力に応じて処遇する体制をとっていると紹介した」と述べました。

そのうえで村田社長は、来年の春闘について「来年度の業績が見えてくるにはあと半年くらいかかる。私どもの経営環境や社会環境、それに経済全般を見据えて総合的に判定したい」と述べました。

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