過労死防止法、今国会中に成立へ 「国に責任」初の明記

朝日新聞 2014年5月24日

 働き過ぎで命を失う人をなくそうと、「過労死等防止対策推進法案」が23日、衆議院厚生労働委員会で全会一致により可決された。27日に衆議院を通過し、今国会中に成立する見通しだ。過労死対策は、国に責任があることを初めて法律に明記した。

 超党派による議員立法で、国に対して、過労死の実態や防止策の研究のほか、対策を進めることを求めている。地方公共団体や事業主も協力するように促している。

 具体的には、過労死の実態や対策について報告書(白書)を毎年つくるほか、国や自治体に過労状態の人や家族の相談窓口を設け、過労死問題に取り組む民間団体を支援することなどが盛り込まれている。

 具体策をまとめて過労死防止策の大綱もつくる。労使の代表や専門家だけでなく、過労死遺族の代表が加わる協議会をもうけて、大綱をチェックするようにもする。

 過労死防止法は、過労死遺族や支援する弁護士が2010年から成立を求めてきた。13年6月には超党派の議員連盟が発足し、12月に野党が先行して法案を提出。その後、自民党が修正案を詰めていた。

 23日の委員会には、法制定を求めてきた「全国過労死を考える家族の会」の代表、寺西笑子さん(65)が出席。「過労死は今も増え続けており、相談者は絶えない」などとして、過労死対策の必要性を訴えた。(編集委員・沢路毅彦)

■過労死防止法案の主な内容

・国には過労死防止策を効果的に進める責任がある

・11月を過労死防止啓発月間にする

・過労死の状況や対策をまとめた報告書(白書)を毎年つくる

・具体的な防止策を盛り込んだ過労死防止大綱をつくる

・過労死の実態を調査し、効果的な防止策を研究する

・過労死の恐れがある人や家族が相談できる体制を国や地方自治体が整える

・過労死問題に取り組む民間団体を支援する

・労働者や経営者の代表、専門家、過労死遺族でつくる過労死等防止対策推進協議会をもうける

・必要があるときは、過労死防止のための法制上・財政上の対策をとる過労死防止法、今国会中に成立へ 「国に責任」初の明記

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