第8回つどい 大不況にどう立ち向かうか

働き方ネット大阪第8回つどい

大不況にどう立ち向かうか
―経済・雇用の崩壊と再建の途

鴨桃代さん来る!

弁護士 谷 真介

働き方ネット大阪の第8回つどいが2009年3月25日にエルおおさかで行われました。

これまで働き方ネットでは、シプラーさんや湯浅誠さんに遠方より講演でおこし頂いたことがあるのですが、今回は東京から全国コミュニティ・ユニオン(全国ユニオン)初代会長の鴨桃代さんに来ていただき、「労働組合は不況にどう立ち向かうか」というテーマでご講演いただきました。

まず驚いたのは、連合の会長選挙までご経験され、現在全国を飛び回っておられる鴨桃代さんが、講演当日も自ら労働相談に乗り、明日も団体交渉があるとおっしゃっていたことです。「全国的な労働組合の幹部の方」というイメージを持っていた私は、今なお現場で一人一人の労働者のための活動をなされていることに感銘を受けました。鴨さんは「私にはそれしかできないんです。そうやってここまできました。」とさらっとおっしゃっていましたが、現場に足を置き続け、労働者の声を聞き続けられてきたからこそ、年越し派遣村のような大きな運動を起こすことができたのではないかと思います。

鴨さんのご講演では、鴨さん自身が中心的に取り組まれた年越し派遣村について、時間をかけて話していただきました。初めは淡々と話されていましたが段々と当時のことを思い出されて熱がこもっていかれることが分かりました。500人を超える村民がやっとたどりつき当初は救急車で何人も運ばれたこと、厚労省を解放させ床暖房のある部屋に入ったとき涙を浮かべた方もいたこと、ボランティアの方々が多数駆けつけ「命をつなぐ派遣村」になった、と。このような実態を起こしたのは一体誰の責任か。一つは規制緩和を繰り返し、雇用保険などセーフティを全く整備しない国の責任。もう一つは切り続ける企業の責任。今の派遣法では「切るな!」と言えない。法律で言えないからこそ運動で「切るな!」と言わないといけないのだ、と力強く語られました。もう一つは労働組合の責任。組合も「切るな!」と言い続け、そして切られた労働者のために具体的に行動していかなければならないとおっしゃっていました。しかし、結局たどりついたのは「派遣法の抜本改正をしなければいけない」という思いだそうです。均等待遇や派遣先みなし規定など、これをやはり変えないと社会は変わらない。派遣法抜本改正のための取り組みにこれからも力を入れたいとおっしゃっていました。

そして、私が鴨さんの講演の中で最も頷かされたのは、「連合でも、全労連でも、どんな思想信条をもつ団体でも、個人でも、10あるうちの一つでも一緒にできることがあるなら、その一つを一緒に取り組みたい。取り組めるはずです。」という言葉でした。組織的な違いがあることは理解した上で、それでもやらなければならないこと、できることをできる範囲で一緒にやりましょうというメッセージでした。肩肘はらないでできることを一緒にやろうよ!と言っていただいた気がして、この間私自身が取り組んできた街頭相談活動など、その意味についてストンと自分の腹に落ちた気がしました。この働き方ネットの取り組みも、そういう取り組みにしていければ、と思った次第です。

鴨さんの講演の後は、正社員組合の方、青年の組合活動家の方、自営業者の方のリレートークを行いました。今の大不況は労働者、自営業者問わず、全くの無権利状態に置かれている現状が語られました。鴨さんの講演の後だったからか、暗い話で終わるのではなく、現状をかえる大きな運動をつくろうという、前向きなリレートークで非常に良かったです。

働き方ネットもすでに8回のつどいを開きました。これからも、その時代のトピックを扱うなど新しいことに取り組んでいきたいと思っています。参加者も事務局員も垣根のないめずらしい集まりだと思いますので、企画する方にもぜひご参加下さい。

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