米労働者の過半が休暇未消化、経済損失23兆円超

休暇明けに仕事がたまっているのが怖い

By MELANIE TROTTMAN
The  Wall Street Journal 2016 年 6 月 15 日
http://jp.wsj.com/articles/SB11611722697749014104804582129701615890814

 米国の労働者の半分以上は2015年に休暇を使い切らず、そのために旅行や外食などへの支出が2230億ドル(約23兆6400億円)失われたことが、新たな調査でわかった。

 主な原因は、スマートフォンやインターネットなどの技術の普及で従業員と仕事のつながりが強まっていることだ。

 調査を委託した旅行業界のプロジェクト「タイムオフ」のシニアディレクター、ケイティ・デニス氏は、仕事と「絶えずつながっているため、私たちは自分が欠かせない存在だと感じ、仕事を離れることが以前より難しくなっている」と述べた。

 労働者が昨年使った休暇は平均16.2日。これに対し、1976〜2000年の平均は年間20.3日だ。デニス氏は、未消化の休暇が残っていた労働者は55%で、それまでの年より多かったと述べた。ただ、調査方法が異なるため、厳密な比較はできないという。

 調査は週の労働時間が35時間超で有給休暇のある人5641人(管理職を含む)を対象にGfKが実施した。経済分析会社オックスフォード・エコノミクスがこの結果と労働省労働統計局の人口動態調査データを使い、休暇の歴史的水準を試算した。

 米国の労働者が昨年使わなかった休暇は計6億5800万日。このうち2億2200万日は繰り越しや換金ができないため喪失となった。労働者1人当たり平均2日間の計算だ。

 調査によると、「米国人は実質、数億日の無料奉仕をし」、614億ドルの利益を喪失している。昨年全ての休暇が取得されていたら、休暇に伴う需要を満たすため160万人の雇用が創出されていただろう。調査では、使われなかった休暇が生産性や従業員数に及ぼした影響を分析していないが、リポートを執筆したデニス氏は休暇が生産性を高めるとの考えを示唆した。

 休暇の取得日数は2000年頃に長期平均の20.3日を割り込んだが、調査によると失業率や消費者信頼感などの経済的傾向は映し出していない。労働省が休暇の利用について調査し始めて以降、特に失業率が高かった(9.7%)1982年には、休暇取得の平均は20.9日だった。

 休暇の取得を見送る理由としては、休暇明けに仕事がたまっているのが怖い、自分の仕事は自分にしかできない、お金がない、などが挙げられた。

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