ソウル市が、2019年6月から日雇労働者・自営業者にも「有給病休」支援制度導入

 ソウル市が、2019年6月から日雇労働者・自営業者にも「有給病休」支援制度導入

 
 ソウル市は、今年6月から勤労脆弱階層に年間最大11日の有給病休を支援することになりました。ソウル市は、勤労基準法(=労働基準法)上、有給病休を受けることができない日雇い労働者と、零細自営業者などに、家計の一部を支援する「ソウル型有給病休支援」制度を6月1日から施行しました。
 
 「ソウル特別市ソウル型有給病休支援に関する条例案」では、
 その提案理由が、次のように述べられています
 
 ○病気でも休むことができない勤労所得者及び事業所得者が、入院治療期間に最小限の家計を維持できるようにして、適正な時期に適切な治療を受けられるように「ソウル型有給病休」手当を提供しようと思う。
 ○脆弱階層に分類される低所得勤労所得者と零細自営業者は、正規職及び常用職に比べて低い所得水準にもかかわらず、医療費支出が高く、疾病による失業など所得喪失につながる状況であり(正規職に比べて零細自営業者は2倍、日雇いは1.7倍の医療費支出)疾病と貧困の悪循環状態に置かれる可能性が高い。
 ○これに対し「ソウル型有給病休」制度導入を通じて、疾病治療などで所得喪失が発生するのに支援策がない非正規職、零細自営業者に対する医療保障制度死角地帯を解消しようと思う。
 
 これに伴って、ソウル市民の中で、「基準中位所得100%以下」=2019年基準で4人世帯461万ウォン(≒46万円)の給与所得者や事業所得者は、1日8万1180ウォン(≒8100円)を受けることができます。健康診断1日と入院10日を含め、1年に最大11日までの手当を受けることができます。
 
 とくに、一部の建設労働者と縫製業従事者など、複数の事業者と契約を結び、雇用主(使用者)を特定するのが難しい場合にも支援を受けることができます。
 
 ただ、勤労者(=労働者)の場合、入院した日の前月まで1ヶ月間10日以上の就労3ヶ月間があることが要件となり、事業者の場合にも、入院した前月まで3ヶ月間事業場を維持していることが必要となります。
 
 住民登録で住所地がソウルである市民であれば、給与所得者でも事業所得者でも住所地を管轄する「洞住民センター」(=区役所)と保健所で申請することができます。
 
 4大保険の中で、国民年金、雇用保険、産災(労災)保険に加入していない場合でも申請できますが、「国民健康保険地域加入資格」は必須です。
 
 ソウル市は、2019年に事業を推進してから、検討を経て対象者を拡大する方針です。
 
 【参考】聯合ニュース2019年5月29日など
 http://mn.kbs.co.kr/mobile/news/view.do?ncd=4210969#kbsnews
 (試訳、文責:脇田滋)
 

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