人勧取扱いで政府と最終交渉 政府「勧告どおり給与改定」 (10/10)

人勧取扱いで政府と最終交渉 政府「勧告どおり給与改定」
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国公労新聞2019年10月10・25日号(第1532号)

 国公労連は10月10日、政府・内閣人事局と「2019年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づく最終交渉を実施しました。
交渉には、国公労連から岡部委員長を責任者に8名が参加し、内閣人事局側は堀江人事政策統括官が対応しました。
冒頭、岡部委員長は、「今年の人事院勧告等の取扱いについて、最終的な検討結果をうかがいたい」と、政府としての最終回答を求めました。
これに対し、堀江人事政策統括官は、「勧告どおり給与改定を行うことが決定される方向である。定年の引上げについては、人事院の意見の申出も踏まえ、引き続き更なる検討を重ね、皆様方の意見も十分に伺いつつ、結論を得てまいりたい」と回答しました。
岡部委員長は、給与改定について極めて不十分な改善であることを指摘し、今後、給与の地域間格差や高卒初任給と最賃の関係、人材確保の観点等から私たちの要求を踏まえた労働条件改善にむけた努力を求めました。その他、定年延長の引き上げ、非常勤職員の雇用の安定と労働条件改善や労働基本権回復等について追及しました。
政府は11日の第2回給与関係閣僚会議において、勧告どおり給与改定を行うことを決定し、その後の閣議で給与改定の法律案を決定しました。
国公労連は、この決定にかかわって書記長談話を発表しました。

国家公務員の生活と地域経済の悪化につながる決定に抗議する
国公労連書記長 九後健治 談話要旨

10月11日、政府は2019年人事院勧告に基づく「改正」給与法を閣議決定した。
勧告は月例給・一時金ともに6年連続で引き上げを行うものであったが、初任給および若年層を引き上げる一方でベテラン層職員は俸給の改定を行わないとしたこと、わずか0.05月の一時金引き上げも勤勉手当に充てるとしたものであった。また、住居手当について国家公務員宿舎使用料の引き上げに伴い、最高支給額を引き上げる一方で支給対象の下限も引き上げたため住居手当受給者のうち4割が不利益を被る内容となった。その他再任用職員の賃金も据え置かれるなど、国家公務員労働者の生活と労働の実態を顧みないものであった。
アベノミクスによって経済格差が広がる中、10月1日に強行された消費税増税が景気悪化に追い打ちをかけることは明らかである。いま求められているのは、労働者の賃金を引き上げ消費購買力を高めることであり、生活改善につながらない決定はそれに逆行するものと言わざるを得ない。
年率3%程度を目途に引き上げ、全国加重平均で1000円をめざすとした最低賃金は、東京・神奈川で1000円を超え、全国加重平均でも901円となった。一方、国家公務員の初任給は一般職試験(高卒程度)初任給を2000円引き上げることが勧告されたが、引き上げ後の給与(15万600円)を時間額に割り戻すとその額は897円となり、地域手当支給地でも5都府県・34地域で最低賃金を下回ることが明らかになっている。実際に最低賃金を下回るケースがないとしても、国家公務員の給与表において最低賃金割れの金額を示すことは、国民に範を示すべき政府としてあるまじき姿勢だと言わざるを得ない。
また、安倍内閣が「地方創生」を掲げる中、大都市への人口集中に歯止めがかからず、経済的な地域間格差も広がっており、その解消が求められている。全労連が9月30日に開催した最低賃金の地域間格差是正を求める集会には、多くの野党に加え自民党議員が参加してあいさつするなど、全国一律最低賃金の実現を求める世論が広がっている。そうした中、国家公務員賃金は地域手当により20%もの賃金格差が生じていることに加えて、今回の住居手当見直しにより家賃相場が比較的安価な地方部に勤務する職員の給与水準が下がることは、さらに国家公務員賃金の地域間格差を拡大するものに他ならず、現在でも深刻な公務の人手不足や地方勤務職員のモチベーションの維持にも悪影響を与え、「地方創生」と逆行することにつながる。
人事院は昨年の定年延長にかかる意見の申し出に続き、今年の公務員人事管理に関する報告で、意見の申出を踏まえて早期に定年の引上げを行うよう求めたが、政府は現時点でもその具体的内容を示していない。このことは「労働基本権の代償措置」である人事院の意見の申し出をおざなりにし、政府の使用者責任を投げ出したものであり、断固抗議する。
国公労連は「8時間働けば人間らしく暮らせる社会」の実現をめざし、財界・大企業の横暴にストップをかける官民一体での賃金闘争、最低賃金を1000円以上に引き上げることや全国一律最低賃金制度の実現、消費税の廃止や社会保障の拡充など国民本位の行財政・司法の確立をめざし、引き続きたたかうものである。
 

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