-
森岡孝二の連続エッセイ
第329回 過労死防止法施行後も過労死・過労自殺が増え続けています
厚生労働省は本年6月30日、2016(平成28)年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。 過労死(過労自殺を含む)の労災請求は、実際に起きた事案の「氷山の一角」に過ぎません。過労死事件は、災害性の労災事件に比べて […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第328回 連合は高プロ制や裁量労働制の拡大についても合意したのでしょうか?
時間外労働の上限規制をめぐる「政労使合意」や「働き方改革実行計画」を追いかけているあるジャーナリストから、先日、つぎのような話を聞きました。 「連合は、時間外労働規制の導入だけでなく、高度プロフェッショナル制度の創設や […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第327回 書評 バーニー・サンダース『バーニー・サンダース自伝』
エコノミスト 2016年8月2日号 バーニー・サンダース『バーニー・サンダース自伝』萩原伸次郎監訳、大月書店、2,300円+税 「はぐれ者」の軌跡に見る米国経済・社会の問題点 これは昨年来のアメリカ大統領民主党予備選挙で […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第326回 書評 松尾匡『この経済政策が民主主義を救う――安倍政権に勝てる対案』
エコノミスト 2016年5月10日号 松尾匡『この経済政策が民主主義を救う――安倍政権に勝てる対案』大月書店、1,600円+税 野党がとるべき経済政策 「大胆な反緊縮」を説く 本書は経済学者にしてはめずらしく多産な著者の […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第325回 書評 朝日新聞経済部『ルポ 老人地獄』
エコノミスト 2016年3月1日号 朝日新聞経済部『ルポ 老人地獄』文春新書、780円+税 ミニ施設急増、職員疲弊…悪化する老人介護の現場 現在、日本の65歳以上の高齢者人口は約3400万人。80歳以上に限っても10 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第324回 書評 仲村和代『ルポ コールセンター――過剰サービス労働の現場から』
仲村和代『ルポ コールセンター――過剰サービス労働の現場から』朝日新聞出版、1200円+税 エコノミスト 2015年12月8日号 年間離職率9割、疲れ果て“心が折れる”職場の実態 本書は知られざるコールセンターの労働 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第323回 政府の残業規制案は8時間労働制の放棄に等しい形骸化を招きます
政府は、3月17の第9回「働き方改革実現会議」で示された「政労使提案」を受けて、29日、時間外労働(残業)の上限設定などに関する「働き方改革実行計画」(以下「改革案」という)を発表しました。 1 死ぬほど働かせる […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第322回 無理が通れば道理が引っ込む過労死残業法認の「政労使提案」
3月17日開催の第9回「働き方改革実現会議」で、「時間外労働の上限規制等に関する政労使提案」なる文書が示されました。以下に述べるように、これは奇妙きてれつ、複雑怪奇、危険至極な規制緩和の「合意」です。 1 奇妙きて […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第321回 残業の上限時間設定を過労死ライン容認の茶番に終わらせてはならない
3月13日のNHKニュースは、時間外労働(残業)の上限時間について、経団連と連合のトップ会談を受けて、安部首相の胆入りで、「1か月上限100時間未満で決着へ」と報じています。政府が強行しようとしている「高プロ制の創設」 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第320回 残業月100時間まで許容する政府・経団連案での幕引きは受け入れられません
働き方改革の行方が注目されているなかで、去る2月14日に第7回「働き方改革実現会議」が開催され、残業の上限規制についての政府案の骨子が「事務局案」として示されました。 事務局案は、「3 6 協定により、週40 時間を超え […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第319回 大山鳴動して鼠一匹――あまりに化石的な政府の残業上限規制案
政府が鳴り物入りで検討を進めていた時間外労働(残業)の上限規制の骨子案がようやく見えてきたようです。1月28日のNHKニュースは「罰則つきの時間外労働上限 月最大100時間で調整」と報じています。 これが期待を持 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第318回 見えてきた経済界におもねた「働き方改革」の時間外労働規制案
厚労省に設置された「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」の第6回会合が1月23日に開催され、これまでの検討の「論点の整理案」が示されました。 その内容は、長時間労働の規制としては、経済界寄りのきわめて […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第317回 電通事件の根深さを示す「もぐり残業」の是正措置と公表制度
電通の新入社員高橋まつりさん(当時24歳)の過労自殺事件と、それめぐる一連の動きが大きく報道されています。12月28日には電通と高橋さんの上司であった男性幹部1人の書類送検と、同社社長の引責辞任が伝えられました。 書類送 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第316回 呆れる日本経団連役員企業の最新36協定
日本経団連の榊原会長(東レ)は、2016年10月24日の記者会見で、安倍内閣の「働き方改革」に触れて、次のように述べました。 「過労自殺は誠に遺憾なことであり、絶対にあってはならないことである。経営トップが先頭に立って、 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第314回 安倍内閣の働き方改革における「長時間労働の是正」の真偽を問う
政府は、本年6月2日に「ニッポン一億総活躍プラン」を、また8月2日に「未来への投資を実現する経済対策」をそれぞれ閣議決定しました。いずれにおいても「最大のチャレンジ」と位置づけられているのは「働き方改革」です。 この働き […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第313回 最低賃金に強くなり、あなたを守り、みんなの暮らしをよくしよう!
最低賃金は法律にもとづいて決定される賃金の最低額(1時間の賃金=時給)です。略して「最賃」といいます。最低賃金制度の下では使用者は労働者に国が定めた最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。最賃を下回る賃金しか支払わ […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第312回 政府による「同一労働同一賃金」の提唱を安易に前進とは言えません。
政府は本年6月2日、「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しました。このプランが目新しいのは、これまで安倍内閣の金看板になってきた「働き方改革」のなかに、「同一労働同一賃金の実現」という宣伝文句が入っていることです。 こ […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第311回 過労死防止法施行後の労災補償状況は何を語るか
厚生労働省は6月24日、2015年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。過労死等防止対策推進法(過労死防止法)が成立したのは2014年6月、施行されたのはその年の11月でしたから、2015年度は施行後最初の年度で […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第310回 「とと姉ちゃん」から旧高商で「商業」が禁圧された歴史を想う
今回は脱線して、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」に関連した話をすることをお許しください。今週のあらすじを見ると、1941年の太平洋戦争突入後、ヒロインの常子が勤める出版社も一段と厳しい言論統制におかれるようになります。深川 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第309回 「一億総活躍プラン」批判(その1) 勤務間インターバル規制
過労死防止大阪センターの先日の幹事会で、安倍内閣の「一億総活躍プラン」(以下、一億プラン)のなかの「勤務間インターバル」が話題になりました。 安倍政権が参院選の看板政策として打ち出した「一億総活躍プラン」は何でもありの「 […]