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森岡孝二の連続エッセイ
第50回 労働市場を弱肉強食の場に変えたのは誰か
このところ締め切りの厳しい雑誌原稿に追われ、そのうえ5月10日刊行予定の拙著『貧困化するホワイトカラー』(ちくま新書)の校正が重なって、連載がとぎれがちでご迷惑をおかけしています。今日は3月3日付けの「しんぶん赤旗」学術 […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第49回 広がる非正規労働者のユニオン
2008年12月に発表された厚生労働省の「労働組合基礎調査結果の概況」によれば、労働組合の組織率(雇用者数に占める組合員数の割合)は、前年比横ばいの18.1%でした。第2次大戦直後には5割前後あった組織率は、1983年に […] -
森岡孝二の連続エッセイ
第48回 財界のいうワークシェアリングはレイオフの別名
突然のようにワークシェアリングが取りざたされています。思い出すのは、2002年3月、厚生労働省、連合、日本経団連のあいだで「ワークシェアリングに関する政労使合意」が成立したことです。そのなかには大別すれば「多様就業型ワ […] -
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第47回 1月の完全失業率が低下したのはなぜか
総務省が2月27日に発表した1月の「労働力調査」(「労調」)によると、1月の完全失業率(季節調整値)は4.1%で、前月に比べ0.2ポイント改善しました。雇用情勢の前例のない悪化を受けて大きく上昇するものと予想されていただ […] -
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第46回 休講脱線 今回は替え歌を二つでごめん
いまネット上には下の二つの替え歌がヒットしています。まともな講義をせず、他人の作った替え歌でお茶を濁すのは無責任ですが、まともに恐慌対策をしないこの人のいい加減さに比べればこの程度のことは許されるのではないでしょうか。 […] -
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第45回 「就業構造基本調査」からみた製造業派遣の実態
非正規労働者の大規模な首切り・雇い止めが起きていることが大きな社会問題になっています。製造業では、昨年10月から今年3月までに、厚生労働省の集計で約12万人、業界団体の推定で約40万人もの労働者が職を失うと見込まれていま […] -
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第44回 「何時解雇されるも一切異議申しまじきこと」
労働者派遣法が成立する前年の1984年に出た藤本武『組頭制度の研究』(労働科学研究所)という本があります。藤本さんは労働科学研究所に永年勤められ、野呂栄太郎賞を受賞された『国際比較 日本の労働条件』(1986年)をはじめ […] -
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第43回 派遣=「雇用関係と使用関係の分離」説を疑う
前回の最後に派遣という就業形態は、「まともな雇用」とはいえないだけでなく、「非正規雇用」とも言えないと書きました。今回はこの意味をもう少し考えて見たいと思います。 派遣という働き方/働かせ方は雇用関係と使用関係(あるいは […] -
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第42回 いったい雇用とは何だろう
いま08恐慌による大不況のなかで、非正規労働者の首切り・雇い止めが大問題になっています。これから数回にわたって非正規雇用をについて考えていきますが、今回はその手始めにいったい「雇用」とは何かについて考えることにしましょう […] -
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第41回 休講脱線 探鳥も凧揚げもせず松が取れ
今年の正月はみじめでした。毎年たいてい三箇日のうちにしていた探鳥も今年はまだ行っていません。恒例の淀川河川敷公園での正月の凧揚げも行けずにいます。今日までに出かけたのは、大学の講義が1日、近くの郵便ポストに行ったのが1回 […] -
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第40回 集中講義? 大企業肥えて民細るなか年暮れる
2002年からの景気回復で大企業は空前の利益を上げました。しかし、その一方で、労働者の賃金は抑えられ、労働分配率(付加価値に占める人件費の比率)は2002年以降ずっと下がり続けました。このことを2007年『労働経済白書』 […] -
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第39回 集中講義? 08恐慌は格差拡大の構造改革で深刻化した
この集中講義の第1回では、アメリカの金融危機を発端に世界を襲っている現下の不況を、生産の落ち込みが深刻で急激であるあることから「08恐慌」と名づけました。では日本経済は、なぜこういう事態になったのでしょうか。 日銀がこの […] -
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第38回 集中講義? 急増する派遣切りと経営者の責任
昨日の夕刊各紙は雇用環境が急激に悪化していることを伝えています。そのなかにも出ていますが、厚労省の集計によれば、本年10月から実施済み、または実施予定の非正規労働者の首切り・雇止めは、全国で1415件、8万5012人とな […] -
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第37回 集中講義? 日本経済を襲う08恐慌と政治の責任
前回までの5回の集中講義で見てきたアメリカと同様に、現下の日本経済も「2008年恐慌」と名づけるしかないような危機的状況にあります。 消費不振による販売の落ち込みがとくに深刻なのは自動車産業です。日本自動車販売協会連合会 […] -
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第36回 集中講義? 08恐慌は新自由主義政策の帰結
第33回「株式バブルと住宅バブル」でも述べたように、アメリカの株価は、1995年から2000年まで多少の乱高下を挟みながら大幅な上昇を続け、2000年から2002年にかけて大きく下げました。しかし、1997年以降上昇幅を […] -
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第35回 集中講義? 引き金はサブプライムローン危機
今回の金融危機は、直接には、住宅バブルが崩壊したことによって引き起こされました。その一つの引き金となったのは、ブッシュ政権下で膨らんだサブプライムローン(信用度の低い通常の金利より割高な住宅ローン)が延滞と焦げつきで大規 […] -
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第34回 集中講義? 繰り延べられたバブル崩壊
前回、ネットバブル崩壊後のIT産業の不況に関して、2001年8月7日の「ニューヨーク通信」を引き合いに出しました。今回は8月23日の「アメリカ経済、曇りのち雨」という通信を、株式バブルをめぐる当時の証言として引用すること […] -
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第33回 集中講義? 株式バブルと住宅バブル
こちらをクリックしてみてください。これはアメリカのS&P500銘柄の株価指数の推移ですが、比較のために1984年以降のダウの推移も示しておきます。どちらでみても、ブラックマンデーといわれる1987年10月19日の大暴落を […] -
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第32回 集中講義? やってきた80年来の世界恐慌
金融危機や生産過剰によって経済が一挙に危機的状況に陥る現象を恐慌と言います。最近のアメリカや日本の経済は、まさしく危機的状態にあるという点で、不況や不景気というよりは恐慌というほうがぴったりします。そういうなかでだらだら […] -
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第31回 過労死110番のスタートから20年
2008年6月11日、東京虎ノ門パストラルホテルで、過労死弁護団全国連絡会議の主催による「過労死110番20周年記念シンポジウム」が開催され、筆者は「過労死110番と働きすぎ社会」と題して報告をおこないました。 「過労死 […]